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双子の輪廻転生

 インド諸宗教や仏教において、輪廻転生は「苦」とされている。幼くして命が途絶えた子供が、再び同じ両親の元へ輪廻転生を果たしたとしても、やはり、それは「苦」なのだろうか。

 1957年5月の日曜日。イギリスのノーサンバーランドで11歳の双子の姉妹ジョアンナとジャクリーンが、教会の日曜礼拝の帰り道で揃って自動車に撥ねられ、命を落とすという痛ましい事故が起きた。母親の悲しみは相当なものだったが、輪廻転生を信じている父親は「二人一緒に帰ってくる」と言い続けた。そして一年後、母親が妊娠した。父親は「ジョアンナとジャクリーンが帰ってきた」と大喜びだが、もちろん母親は信じなかった。
 しかし、生まれてきたのは双子だった。父親は二人をじっくり観察した。ジョアンナの眉毛には、自転車で転んだ時の傷跡があったが、一人にはそれとよく似た傷跡のようなものがあった。そしてジャクリーンには、尻に渦のような痣があったが、やはり、もう一人の尻によく似た痣があった。父親は生まれ変わりを確信した。

 二人は生まれてまもなく、父親の仕事の都合で三年間別の土地で過ごした後、再び戻ってきた。三歳になった双子に、この土地の記憶があるはずは無い。なのに親が何も言わないうちから、「あの家ね」「またブランコで遊びましょ」と話している。更に、「そこを曲がると私達の小学校ね」と見えないうちから、まるで知っているかのように話している。不思議に思った母親が父親に教えたのかと訊いていると、父親が答えるより早く「自分達が通っていた所なんだから知ってるわ」と言った。そして、追い討ちをかけるように「早く帰ってメアリーと遊びたい」「私もスザンヌと遊びたい」と言った。これには、生まれ変わりを確信していた父親でさえ驚いた。メアリーとスザンヌは、死んだ双子がそれぞれかわいがっていた人形の名前だったからだ。そして、ずっと生まれ変わりを信じることができなかった母親も、考えを改める事となった。
 こういったことはその後も続き、双子が六歳を過ぎると突然、鳴りを潜めたと言う。

七海かりん(山口敏太郎事務所)

山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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