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「隠し球」はいない!? 本番直前2カ月前 12球団ドラフト情報 広島東洋編

 広島東洋カープのドラフトと言えば、育成。若い逸材を集め、じっくり育てるのが広島のやり方だったが、昨年のドラフト指名は20代のオトナに偏重した。指名選手7人のうち、高校生は5、6位の2人だけという“異例のスカウティング”となった。「即戦力の投手を加えれば、優勝圏内に」と読んだからだが、今季、頭角を現した新戦力は、2年目の投手・今村猛(20)、4年目の外野手・丸佳浩(22)と外国人…。9月8日の時点で、一軍登録されている新人投手は、ドライチ・福井優也(23)だけだ。

 しかし、98年以降、Bクラスに沈んだままなので、今年も「即戦力」の補強に重点を置かざるを得ない。地元・広島県の広陵高卒で、『即戦力=ビッグ3』の一角でもある野村祐輔投手(明治大)の1位入札をすでに表明している。現時点で、野村投手の1位入札を表明した球団はほかにない。同投手の一本釣りに成功した場合、球団史上初の「2年連続の大学生1位指名」になるそうだ。
 今年のキーワードは『地元』。広島の候補者名簿の上位には野手も何人かリストアップされているそうだ。その筆頭と目されているのが、昨年秋のリーグ首位打者・土生翔平外野手(早大/右投左打)と、広陵高の丸子達也選手(左投左打)だ。土生外野手は複数球団がチェックしている。4年春はやや調子を落としたが、広島は地元出身の好スラッガーを他球団に行かせたくないと意気込んでいた。丸子選手は「昨夏の甲子園」時点で、スイングと打球の速さに12球団スカウトが釘付けになり、「T-岡田よりも…」、「金本2世」とも称されてきた。
 巨人は今夏の広島県大会に「編成本部統括ディレクター」がわざわざ足を運ぶほどの熱を入れようだった。そういえば、03年に西村健太朗(広陵高)を2位指名され、広島は地団駄を踏まされた。丸子選手の進路はまだ明らかにされていないが(同時点)、プロ志望ならば、2〜4位あたりで両球団の駆け引きが展開されそうだ。

 有名どころの大学・社会人投手も追い掛けているが、「磨けばさらに光る原石」として調査してきたのが、岡本亮投手(大阪産業大/右投右打)だ。西武投手・岡本洋介(26)の弟で、兄同様、キレのあるストレートを投げるが、こちらは「変化球のキレ」でも一目置かれていた。
 私見だが、大砲タイプをもっと獲るべきでは? チーム本塁打数は「39」(同時点)。セのワーストだが、パ・リーグの本塁打王レース1位の中村剛也はこの時点で38本を放っている。統一球の影響、機動力の伝統的チームスタイルも分かるが、セ・リーグのチームは東京ドーム、神宮球場、横浜球場と、狭い球場でも公式戦を戦わなければならない。打線の破壊力を高めるためにも、土生、丸子両選手だけではなく、3人目、4人目の大砲候補も上位リストに加えるべきではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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