この生物はヴァル・チャップマン氏なる人物が、ニューメキシコ州にて、猫とウサギを掛け合わせた結果、生まれたという触れ込みであった。本当にウサギと猫が子供を作ったのであろうか?だが、普通こんなことはあり得ない。もし実在したとしたら猫好き、ウサギ好き双方が飛びつく大人気ペットとなり得るだろう。
このような混同生物は、犬と猫の間に生まれた「猫犬」などが報告されている。カンボジアに住む、ホウ氏の飼っている愛犬ノウちゃん(雌10才)に異変が起こった。ある日に森に住む修行者がホウ氏の家を訪れ、ノウちゃんを指さすと、「この犬は虎と交わった」と告げた。奇妙な内容の予言をホウ氏は不思議に思っていたが、ノウちゃんはしばらくすると子犬を産んだ。だが、その子犬は灰色の仔猫のように見える生き物であったという。単に奇形の犬とも思えるが、日本でも飼い犬が猫のような子犬を産んだという話は報告されている。
ここまでは単なる与太話に過ぎない(と思いたい)が、遺伝子工学が発達してきた現代では、なんでもありの状態になりつつある。科学誌「ネイチャー・メソッズ」が2011年に報道した記事によると、米国の研究チームが、猫エイズを引き起こす猫免疫不全ウイルス(FIV)に耐性のある遺伝子を猿の遺伝子から取り出し、猫の卵母細胞に注入し、その後受精させた。その結果、猫エイズに耐性のある猫の個体が生まれたのだが、研究のため遺伝子操作を行った部分を判別するために、クラゲの発光する遺伝子も入れた。すると、どうだろうか。闇夜に蛍光塗料のように発光する猫が生まれたのだ。
この猫の誕生は、猫エイズの感染防止の対策に使われるし、人間の後天性免疫不全症候群(エイズ)治療にも役立つとみなされている。同時に様々なペットにクラゲの遺伝子を入れた場合、光る犬や光るハムスターなどが生まれる可能性を開いたのだ。
このように遺伝子工学を使えば、見たこともない新種の生物や人間と動物の混同生物?を作り出すことが可能な世の中になっているのだ。今後のUMA=未確認生物は、遺伝子工学の産物ではないかと疑う必要もあるだろう。
(山口敏太郎)