先発・吉見、中継ぎ・浅尾、抑えの岩瀬、さらに打撃30傑3位の3番・森野。選手間投票で選ばれたブランコ、井端、和田の3人と合わせると7人にもなる。12球団最多の巨人の合計9人に次ぐ人員だ。巨人を追撃する阪神でさえ、久保、平野、マートンの3人の監督推薦で、ファン投票の藤川・城島の2人を加えても5人なのだから、中日選手の多さが際だっている。
「原監督の落合監督に対する報復だろう。『ペナントレースがすべてだから』と言い切り、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に1人も中日の選手を送らなかった落合監督は、オールスターでも嫌がらせをした。ペナントレースで好調だった吉見と川井、さらには抑えの岩瀬まで監督推薦で出すことを拒否しようとした。さすがに原監督が激怒して、渋々、吉見と川井の2人を出した経緯がある。だから今年は12球団最多の4人も監督推薦したんだよ。4人とも選ばれて当然の選手ばかりだから、落合監督も拒否できないだろうと、見下ろした人事だね」。
こう球界OBが内幕を語る。確かに的を射た見方だろう。3年前にリーグ優勝しながらクライマックス・シリーズで2位の中日・落合監督に完膚なきまでに叩かれたトラウマを引きずっていた原監督が、ここ2年間、落合監督に完勝してオレ流コンプレックスを一掃している。それどころか、WBC日本代表監督として世界一になってから、自信に満ちあふれ、逆に落合監督を見下している。
「中日の野球には閉塞感がある」等と公言したことまである。今回の4人の監督推薦を黙って受け入れたことで、完全勝利の意を強くしただろう。今後は、落合監督の出方注目されることになる。最大、唯一の理解者である白井オーナーから「今年は4年ぶりのリーグ優勝はもちろんだが、去年巨人にやられた分のお返しをして欲しい。16勝8敗の成績を」という、至上命令が出ている。
が、実際には首位・巨人から7・5の大差(5日現在)をつけられ3位、巨人との直接対決も3勝6敗と最悪の昨年のペースと同じだ。この現実の前に落合監督が完全に自信喪失してしまったのか。それとも「落合は転んでもただでも起きない。殺しても死なないヤツだ」という、球界関係者の間の落合神話は依然として死んではいなくて、ただ死んだふりをしているだけなのか。
9日からナゴヤドームで巨人との直接対決3連戦があるので、早速答えが出るだろう。ここでも叩かれるようならば、中日が奇跡の大逆転劇を起こすことは無理で、昨年まで同様に、巨人・原監督と中日・落合監督の上下関係は変わりようがなくなる。「落合にこれ以上、期待するのは無理がある。唯一、巨人を倒す可能性がある阪神をせめてアシストしろ。真弓は同じ昭和28年生まれの会の仲間なんだから。まず目先はオールスターだ。昨年4位だった真弓にはオールスターに出る権利がないから、コーチ役の落合が原の横暴を阻止する必要がある」という球界OBもいる。さて、原vs落合の宿命の対決は、どういう結末になるのか、しばらくは目を離せない。