しばらくすると、同伴出勤も当たり前になり、ほとんど毎日、一緒に夕食をとってからお店に行くようになった。「普通のカップルより、一緒にいる時間は長かったと思う。彼氏もいなかったし、別によかったんだけど」。しかしここで気になるのは、Tさんが見せた底なしの財力。一体なにをしていた人なのかというと、「お父さんのやってる会社の役員だって。名刺も貰ったし、一度会社の近くまで一緒に行ったこともあったから、お金があるっていうのは納得できて、私も全然遠慮しなくなっちゃってたの」
そんな関係が半年ほど続き、「強引に迫られたこともないし、全然そんな話にならなくて、ただ奢ってもらうのが当たり前って感じだった」わけだが、ある日、突然の告白を受けることになる。「告白って言っても、『付き合って』っていうより『やらせろ』って感じで、なんか違う人みたいですごくびっくりした」。しかしこれまでの経緯から、しょうがないという気持ちと情もあり、彼の要望に応えて、その日はアフターでホテルにお泊りしたという。
すると翌日以降、Tさんはパッタリと店に来なくなっただけではなく、連絡すらもつかなくなってしまった。「その前がすごく長かったから、ポイ捨てとは思えなくて、なにかあったのかなってお店の人とも話してたんだけど…」。その悪い予感は的中し、1週間ほどが過ぎた頃、なんとお店に警察官がやってきた。「何100万っていったかな、会社のお金を勝手に遣って業務上横領で捕まったんだって。私も事情聴取で連れてかれて」罪には問われなかったものの、精神的に大きなショックを受けたのだとか。「今思えば、夢みたいな時間だったかもって。最後のアフターは思い出作りだったのかなって思うと、可哀想な気もするけど、もう会うこともないしね」
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