歓喜のGI勝利後の今冬はドバイに遠征したが、鼻出血に見舞われ、予定していた2月のケープヴェルディS(GIII)への出走はかなわず…。規定により20日間出走停止の憂き目に遭った。その後はバランシーン(GIII、芝1777メートル)に出走するも、レース中に再び鼻出血を発症し、9頭立ての9着と大敗を喫した。「実は秋の(秋華賞)トライアル前から、栗東の調教ではその気があったんだ」と小島茂調教師は当時を振り返る。
原因不明の鼻出血の治療のため、陣営は今春を完全休養にあて、立て直しを図ってきた。そのかいあって、「今では完全に治まった」とトレーナーはホッとした表情で話す。
秋の目標はエ女王杯。だが、悠長なことはいっていられない。年内での引退がすでに決定している同馬にとって、この先は一戦一戦が勝負になる。実際、中間はステップレース仕様とは思えない熱のこもった調整が続けられている。
それと併せ、鼻出血再発の防止策も講じられてきた。「栗東で調整していたころは、坂路でインターバルを行ってきたが、時計が出なかった。今回からはキャンターで長めに乗って追い切りは短めに…と調教パターンをかえた」。繊細な牝馬。時計を出さない日のメニューにしても微に入り細をうがってきた。
「今はなんの心配もないし、仕上がりも悪くないからね。メンバー的にも、この馬の力を出せば恥ずかしい競馬はしないはず」
実り多き秋にするためにも絶対に落とせない。現役最後の夏。病魔に打ち勝った根性娘が華麗に復活劇を遂げる。