「ケイコは十分積んでいたけど、脚元の関係もあって強い攻め馬ができなかった。満足できる状態ではなかったからね」と野元調教師は振り返る。
一転、この中間は意欲的だ。2週前に坂路で800メートル52秒8、1週前には同51秒7。守りの姿勢だった前走時から攻めの調教に切り替えてきた。プラス22キロと太かった馬体はギュッと引き締まり、GIホースの迫力を取り戻しつつある。
「もともと使えば良くなるタイプだし、今度は息の持ちが違う。何より馬体が絞れて、筋肉も大幅に付いてきた」
ひと叩きされ、陣営の青写真通りに上昇カーブを描いてきた。あとは、メイショウサムソンなどを完封した宝塚記念以来、1年4カ月ぶりの勝利を目指すのみだ。
「ハナにはこだわないけど、先行すればとにかくしぶとい。相手はそろっていても、自分の型でレースができればチャンスはあると思う」と師は口元を引き締めた。
一時は右前けいじん帯炎で引退の危機に直面した。それを乗り換えた不屈の闘志が、大舞台で爆発する。