同じく、来季の構想から外れた谷佳知外野手(40)が4日に自由契約を通告された。谷は日本シリーズでは戦力として、ベンチ入りし試合にも出場した。かたや、小笠原は日本シリーズの出場資格選手40人枠にも入れず、完全な“戦力外”だった。それなのに、なぜ谷が自由契約で、小笠原はクビにならずに、FA権行使となったのか…。
それは、巨人が小笠原のプライドと貢献度を最大限に配慮した結果だというのだ。小笠原は06年オフに、FA権を行使して、日本ハムから巨人に移籍した。07年は31本塁打、88打点、打率.313の好成績で、リーグ優勝に大きく貢献し、両リーグをまたいでの2年連続MVPを獲得。以後、10年まで移籍後、4年連続で3割をマークするなど、巨人の4番打者として活躍した功労者。
高額年俸がネックとなり、オリックスで抱えきれなくなって、巨人が引き取った谷とは同一に並べられないのだ。谷は移籍1年目の07年こそ、3割を打ったが、規定打席に到達したのは、この年のみで、小笠原とは格も貢献度も決定的に違うのである。
某スポーツ紙記者のA氏は「巨人が考慮したのは、やはり功労者である小笠原のプライドでしょう。これだけの選手を、戦力外で自由契約にしたのでは、球団のイメージも悪くなるし、小笠原のプライドにも傷が付く。となると、最終的に行きついた着地点がFA宣言だったのでしょう」と語る。
12年までの小笠原なら、年俸4億3000万円の超高年俸だったが、今季は7000万円まで減額されている。これも、FA権行使となった大きな要因だ。この年俸は巨人では人的、金銭補償がいらないCランクであるため、獲得する球団としては巨人への見返りが必要なく、実質的には自由契約選手と同じようなもの。
問題は40歳で、ピークを過ぎた小笠原を獲る球団があるかどうか。なければ、引退の道しかない。そこで浮上してくるのは、やはり、日本ハム時代の師匠格である落合博満氏がGMを務める中日の存在。
前出のA氏は「中日は代打要員が手薄ですし、交流戦の指名打者としても使えます。小笠原自身、大減俸も覚悟しているようですし、退団した井端(弘和)に提示した3000万円程度なら、オファーをかける可能性は十分ありそうです」と語る。
悩んだ末にFA権を行使した小笠原獲得に動く球団はあるのか? FA選手は14日に公示され、15日から交渉解禁となる。
※年俸金額はすべて推定
(落合一郎)