シーズン終了後、巨人は日本シリーズをも視野に入れた万全の態勢を整えてきている。
10月中旬からジャイアンツ球場で全体練習。17日にはグライシンガーと内海の両投手が、宮崎でフェニックスリーグ(2軍教育リーグ)の広島戦に登板。続く18日のサーパス戦には上原投手、高橋尚投手がマウンドに上った。4投手そろって順調に仕上がりり、ジャイアンツ球場で報告を受けた原監督を喜ばせた。
スポーツ紙デスクがこう言う。
「バッティングは水もの。小笠原、ラミレス、李の大砲トリオでも沈黙することがある。短期決戦では、何より先発投手の出来がカギを握ることになる。4投手の調整がうまくいって、原監督はまずはひと安心でしょう」
野手陣も、きのうと今日の2日間、やはり宮崎でソフトバンクと韓国プロ野球の斗山ベアーズと練習試合に臨んでいる。昨年の二の舞いはゴメンだからだ。巨人OBの話。
「ほんと、去年は散々だったからな。第1ステージを勝った中日に3タテ。それも1、2戦は完敗。先取点を取った3戦目も逆転されると、もう意気消沈してた。今年はきっちり準備しているから、そんなことはないと思うけどな」
そう言いながら、巨人OBは絶対勝てると太鼓判は押さなかった。巨人に1勝のアドバンテージがあるにもかかわらずだ。
「気になることが2つ、3つあるからだよ」(前出・巨人OB)
スポーツ紙デスクも、2つの不安な点を指摘する。
「リーグ優勝を決めた8日のヤクルト戦では、原監督が『お前を信頼している』とばかりにクルーンに最後のひとりを任せています。41セーブは立派というしかないが、精神面で弱さがあり、シーズン中、四球を連発して自らピンチを招いた悪癖が出ない保証はない。ま、プレッシャーがハンパじゃないから、最初の登板で使えるかどうかハッキリするでしょう」
このところ、万年Bクラスに甘んじている横浜ベイスターズから巨人に移籍して1年。肉体的にはもちろん、精神的な疲れから崩れても、おかしくはない。
2つ目は、故障でリタイアしている阿部捕手の穴だ。
「鶴岡か加藤が代役を務めることになるが、大舞台できっちりリードできるかです。宮崎で上原の球を受けたのが鶴岡。無難にこなしてましたが、上原は『もっと内角を要求してくれないと…』と不満そうだった。これは、投手陣全員の意見と見ていい。むしろ、投手からサインを出したほうがいいかもしれないくらい」(前出・デスク)
そして、3つ目の不安点を指摘するのが巨人OBだ。
「原は選手を信頼するあまり、投手を引っ張りすぎることがある。短期決戦では冷酷な決断が要求される。とくに投手はそう。中継ぎの駒はそろっているだけに、早め早めの継投で乗り切る試合があっていい。ランナーをふたり出したらマウンドに行くくらいのな」
非情の采配こそが、原監督に求められている。