1回裏、上林誠知の先頭打者ホームランを皮切りに、松田宣浩、甲斐拓也にも2ランが飛び出すと、続く2回には、中村晃が打球を逆方向へスタンドイン。5回には柳田悠岐、内川聖一がそれぞれアーチをかけた。
さらに、7回には、柳田がこの試合2本目となる一発を叩き込み、牧原大成がプロ初ホームランとなる2ランをライトスタンドへ。終わってみれば、8発11点を含む計16点の猛攻で、首位西武に大勝を収めた。
球団タイ記録となる“1試合8本塁打”をマークした今回のソフトバンク。1994年9月18日のロッテ戦以来となるこの快記録は、もちろん賞賛に値するものだろう。
ただ、この記録はあくまで球団記録であり、プロ野球記録ではない。上には上がいるもので、過去には4球団がプロ野球記録である“1試合9本塁打”を達成している。
史上初めて9本塁打を記録したのは、今は亡き松竹ロビンス。セ・リーグ初代王者(1950年)としても知られるこのチームは、1951年8月1日(対大阪タイガース戦)の試合でプロ野球記録を樹立。当時チームの主軸であった岩本義行は、この試合で4本ものホームランをマークしている。
次に、この記録を樹立したのは阪神タイガース。1976年9月19日(対広島東洋カープ戦)において、プロ野球史上2チーム目となる“1試合9本塁打”を達成した。ちなみに、この年における阪神のチーム本塁打193本は、当時のセ・リーグ記録でもあった。
1980年には、阪急ブレーブス(8月9日)、ロッテオリオンズ(10月3日)の2球団がそれぞれ偉業を達成。今回の試合でソフトバンクにあと1本ホームランが出ていれば、38年ぶりのプロ野球タイ記録ともなっていたのだ。
新たな記録が生まれるたびに、過去の記録にスポットライトが当てられる。それもまた、80年以上の歴史を持つ球史の賜物であるといえるだろう。
文 / 柴田雅人