タッドベリー城は処刑されたスコットランドの女王メアリー・スチュアートが幽閉されていた場所で、様々な幽霊が出る心霊スポットとして広く知られていた。特に甲冑姿の幽霊「キーパー」が有名だったのだが、正にその幽霊を探しに行こうとしていた調査班の目の前に、不可解な影が現れたのだ。カメラや照明の位置、その時の取材陣の立っていた場所からすると幽霊のような影として映り込む対象もなく、本物の幽霊の姿が撮影されたのでは!? と注目されたのだ。
イギリスではこのように幽霊が出るとされる城や屋敷が古来から多く残っており、何百年もたった現在でも幽霊が目撃される場所も数多い。
有名なものがイギリスのノーフォーク州にあるレインハム・ホールだ。ここには「茶色の夫人」という女性の幽霊が出ると言われている。この幽霊はレインハム・ホールの主人であったチャールズ・タウンゼント氏の第二夫人だった人物ドロシー・ウォルポールだとされている。茶色の夫人、というのは幽霊が来ているドレスが茶色をしている事に由来する。彼女は政略結婚で嫁いできたのだが、浮気を咎められて屋敷の一室に幽閉され、亡くなったと言われている。一説には階段から突き落とされて首の骨を折ったのが死因ともされている。
彼女の幽霊は彼女が亡くなった直後、1700年代から目撃されていたのだが、1936年に決定的な写真が撮影されることとなる。それが、この写真だ。
階段の中程を降りてくるぼんやりとした白い影。これは1936年9月19日に写真家のプロヴァンド氏が撮影、イギリスの雑誌にて公開されたものである。この時彼は助手と一緒にレインハム・ホールを訪れていたのだが、助手が階段の方を見て非常に怯えた様子を見せたため、すかさずカメラを向けたところこのような写真がとれてしまったのだという。後に、この写真は第三者の鑑定を受けたが二重露出やトリックなどの痕跡を発見することはできなかったとされている。
ちなみに、この心霊写真が撮影された階段こそ「茶色の夫人」が突き落とされ、亡くなった場所だとされている。
未だに本物の心霊写真との呼び声が高いこの写真、あなたはどのような印象を受けるだろうか?
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所