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2010年 夏の甲子園ダークサイド情報(6)〜留学生を斡旋する輩がいる?〜

 大会4日目の8月10日、明徳義塾(高知県)が逆転で2回戦進出を決めた。その逆転に成功した7回裏、先頭打者で三塁打を放ったのがシング・アンドリュー右翼手だった。あくまでも筆者の素人判断だが、彼の動きには躍動感がある。全身にバネがあり、日本人にないスピード感に溢れていた。
 高知県大会のデータを改めて見てみると、アンドリュー右翼手の打撃成績は17打数3安打(打率1割7分6厘)。だが、高知県大会5試合全てに出場しており、選手層の厚い明徳義塾において、馬淵史郎監督が『不振』の彼を外さなかったのは、潜在能力を認められているからだろう。

 甲子園に外国籍の留学生、ハーフなどの方仮名に登場して久しい。こんな光景に遭遇したことがある。九州圏の私立高校を取材しているときだった。控室で監督にお話を窺っていた際、「外線が入っていますが、いかがされますか?」と、学校職員がそこに割って入ってきた。監督は「申し訳ない」と言い、電話に出た。暫くして、監督の表情が一変した。
 「そういうことは私の一存ではお答えできません。学校長に相談してください」
 電話を切るなり、監督は電話の主旨を明かした。電話の主は「高校野球に興味を持つ韓国人学生を仲介したい」と言ってきたそうだ。同校に外国から留学生制度があるかどうかを尋ねてきたという。
 「最近、この手の電話が多いんですよ。韓国とか台湾の球児を知っているとか…」
 一般論として、日本人にはない躍動感を持った外国人選手が加われば、甲子園を狙ううえで大きな戦力となるのは間違いない。まして、福岡近郊の駅、空港、公共施設に行けば、案内表示に中国語、ハングル文字も書かれている。「学校長の認める範囲で、留学生を受け入れている学校も珍しくない」そうだが、この九州圏の監督が留学生の話を一蹴したのは、その仲介者に不信感を覚えたからである。
 「善し悪しはともかく、野球に限らず、日本の高校の部活動は厳しいですよ。練習内容もそうだし、時間だって長い。(留学生は)団体生活、集団行動に疑問を覚えるだろうし、それに耐えられない日本人だっているくらいなんだから(笑)。そういうことを1つ1つ教えていくのは大変ですよ。私にはその力量はありません」
 同監督はそう謙遜したが、「怪しいことには関わりたくない」と考えていたのだろう。「自分にはやましいことは一切ない」と訴えたかったから、取材者である筆者にも電話の主旨を明かしたのではないだろうか。
 こうした留学生の甲子園挑戦について、プロ野球側の反応は違う。
 「アマチュア選手としてドラフト指名すれば、日本人登録できます。その利点は大きい。彼らには日本人にはない躍動感もあるし、ダルビッシュの成功を考えれば、高校野球の世界に飛び込んだ留学生には興味があります」(在京球団スカウトの1人)
 しかし、こうした外国からの野球留学生を仲介しているのは、どんな組織なのだろうか。

 すでに伝えられているが、アンドリュー右翼手は幼少のころから日本に移り住み、明徳義塾中等部から進学してきた選手だ。同校は野球以外のスポーツも盛んで、のちにプロに進んだ海外留学生も少なくない。『部活動』という日本独特の文化も熟知しており、アンドリュー右翼手は「将来はプロ選手になり、発展途上国にワクチンを寄付したい」とも語っていた。こうした将来の明確な目標を持った留学生は応援してあげたい。
 高野連にも何かしらの報告はされていると思うが、海外からの野球留学生を斡旋する輩について、慎重に調査する必要があるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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