必勝を期した北京五輪予選の初戦、アメリカ戦で、これまでさんざん指摘されてきた決定力不足を露呈。反町監督が「勝ち点3を取りに行く試合をする」と悲壮な覚悟で臨んだナイジェリア戦も1-2。日本の1点は、2点のビハインドを許してからの得点。アフリカ勢特有のセーフティーリードしてからの手抜きの1点といってよく、その後、やや本気になったナイジェリアの攻守に、反町ジャパンは成すすべもなく敗れた。
遠藤(ガ大阪)が故障で出場できなくなり、OA枠を使えなかった五輪代表。優勝候補筆頭のブラジルをはじめ、日本以外の代表国すべてがOA枠を、しかもほとんどの国が3人選出していた。ところが、日本は大久保(神戸)に振られ、遠藤が出場できないことが分かっても追加選手は発表されずじまい。
ゲームメーカーと決定力のあるFWを欠いたまま本番を迎えたわけだが、そんな事態を受け入れざる得なくなった理由は何だったのか。サッカー協会内部に詳しいフリージャーナリストは、こう見ている。
「遠藤が出場できないと分かったときに、反町監督が『OA選手をお願いしたい』と頭を下げていれば協力するチームはあった。ところが、『OA枠に頼る気はない。選んだ18人は最強の布陣』と見えを切ってしまった。これでは、選手を出せばJリーグの成績に響きかねない各チームの監督は『なら、勝手にやれば』となって当然です。反町監督の、身から出たさび、というしかないんです」
それでなくても、今回の五輪世代は最弱とも酷評されていた。負けるべくして負けたとも言えるのだ。
さて、問題は日本に帰国後である。4年後のロンドン五輪に向けて、新たな体制で臨むことになるが、そこで再燃しそうなのが外国人監督待望論。岡田ジャパンも、相変わらずの決定力不足。
日本サッカーの永遠の課題なのだが、日本人監督ではだめだとの声がまた噴出しそうな状況にある。スポーツ紙デスクが解説する。
「岡田と反町は日本サッカー界の切り札的存在。そのひとりがだめだとなっても、2011年の南アW杯が終わるまで、世界的な有力監督の大きな移動はないとみていい。もはや、手詰まりなのですが、ひとりだけ候補がいる。それもバックに強力な人物がいて、日本のサッカーに精通している人物です」
ここまで書けば、サッカー通なら推測がつくのではないか。そう、名古屋グランパスのストイコビッチ監督と、その師匠のイビチャ・オシム氏だ。
オシム氏は大病克服後、日本サッカー協会とアドバイザー契約を結んでいるだけに、話は早い。問題はストイコビッチ監督だが。
「ピクシー(ストイコビッチの現役時の愛称)が日本に戻ってきたのは、日本のサッカーを強くしたかったのと、師であるオシムがいたから。オシムが面倒を見てほしいと言えば、おそらくふたつ返事でOKする。このふたりなら、どこからも文句は出ない」(前出・フリージャーナリスト)
ネックになるとすれば、優勝争いを演じるまでにクラブを強くした名古屋グランパス(9日現在、3位)サイドの姿勢だろう。
「日本代表クラスの監督を要請されれば、反対しないはず」(前出・スポーツ紙デスク)
オシム=ストイコビッチ体制で、決まりと見ていいだろう。