ひとつ大きな壁を破れば、あれだけ遠かった重賞勝ちも、意外にたやすくクリアできることもよくある話。当然のごとく、未勝利→りんどう賞を持ち前のスピードで連勝し、このファンタジーSに照準をピタリと合わせてきたエイムアットビップが今週の目玉になるのはいうまでもない。
「ウーン、そう競馬は簡単にはいかないからね」
慎重にも、こう前置きした師だが、「体は前回よりさらに増えていると思うが、明らかにあれは筋肉。ホント、カイバ食いが旺盛だし、一戦ごとにたくましくなって、キャンターですらほれぼれするほど。それにソエ、トウ骨など運動的機能を担う箇所は何の不安もないのが一番だね。」と歴然たる愛馬の絶好調ぶりに口も滑らか。
さらに、「今週は仮柵を外したBコース。別にハナにこだわる馬ではないが、他馬とはスピードが違うし、今回も前へ行けるのは間違いないよ」と再び緑の絨毯を一人旅できる舞台設定にニヤリ。
「今週の眠れぬ夜はホーネットの祝い酒が睡眠薬になるか」と本音もポロリと出た。
鞍上のユーイチの言葉を借りれば「この馬のマイペースがほかの馬のハイペース」というほどのスピード馬。逃げ切り勝ちとなると99年のテネシーガール以来となるが、このたぐいまれなるスピード娘なら、「VIPを目指せ」のネーミング通り、速さで圧倒して、阪神JFの最有力候補の席を射止めてみせるはずだ。