ある時、イギリスの博物館で不可解な怪奇現象が発生した。ガラスケースに入れられて動くはずのない古代エジプトのオシリスの石像が動き、「ファラオの呪いではないか?」と博物館の関係者は恐怖に震えた。
この現象が発生しているのは、英国・マンチェスター博物館。問題の石像は紀元前1800年頃に作られたと思われる墳墓から発掘された約4000年前のオシリス神の像であった。この石像は高さ10インチ(約25cm)のオシリス神をかたどった小像であり、元々個人収集家が所持していたもので、1933年に同博物館に寄贈した経過がある。なお、この石像の背中には、死者への祈りとして、ビールとパン、動物のいけにえを求める言葉が刻まれており、この言葉からも「ファラオの呪い説」が流布した。
この石像の異変に気がついたのは、博物館の学芸員キャンベル・プライス氏であり、スタッフが誰も触れていないにも関わらず石像が動いていることを確かめるために、一分ごとにシャッターを切る監視カメラを一週間設置した。
すると、昼間のみ石像は動いており、一週間で360度回転してしまったのだ。
「すわ、呪いか?!」と思われたが、実際は博物館の前の道路をバスが通ったり、近くの公園でサッカーの試合が行われている時や博物館に来客があった時に動いていることが判明した。
改めて石像を調べてみると、台座の底の部分が若干丸くなっており、恐らく周囲の振動の影響で回転している可能性が高いという結論に至ったのだそうだ。
(山口敏太郎)