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夜を棄てたキャバ嬢〜薄毛に悩んでいた美羽〜

 キャバ嬢にとって、髪型は極めて重要な商売道具の一つである。美しく彩られた髪型ひとつで、客から喜ばれたり、逆に冷たくあしらわれたりする場合もあるという。つまり顔やトークだけでなく髪も含めたそのすべてが客の評価の対象となるのだ。だからこそ他の職業よりも人一倍、髪型に拘らなければならないのだが、美羽(21歳・仮名)には自由に髪型を変えることができない理由があった。

 「子供の頃から、他の子と比べて髪が薄かったんですよね…」

 薄毛の悩みは男性だけの問題ではない。近年は女性もまた薄毛の状態が深刻化しているという。特にキャバ嬢は髪を染めたり、ゴージャスさを出すため髪の毛を引っ張った状態から、そのまま盛るため頭皮へのダメージは大きい。美羽もまたそんな髪型を続けるうち、地肌にスプレーやワックスが残り、頭皮の毛穴が塞がれることで抜け毛が多くなっていった。

 「元々、薄かった髪がさらに少なくなったような気がして。でも私もキャバ嬢になったからには、派手な髪型をしたいと、思い切ってやっていたんですよね。今となっては後悔しています」

 髪への深刻なダメージに気付いた美羽は、いつからか出勤時は、盛り髪でない黒髪のストレートで接客することにした。すると他の嬢とは見た目のタイプが違うため、逆に目立つこととなり新規の客を獲得できたこともあったという。しかし、薄くなった髪は増えることがなかった。

 「やはり不規則な生活が響いていたのだと思います。22時から深夜2時までに眠らないと成長ホルモンが出ないみたいなので、夜の仕事は辞めたほうがいいと判断したんです」

 昼は学校に通い、夜はキャバクラで働いていた美羽にとって、髪に大敵な睡眠不足が常に付きまとった。そして将来的に、髪の量への不安を感じた彼女は夜の世界を棄てた。

 「キャバを辞めてからは早い時間に布団に入るようにしています。他にもヘッドマッサージに通ったり、髪に良いシャンプーを海外から取り寄せて、現在は増毛に奮闘中です(笑)」

 ワックスやブリーチなどを使ったことへの頭皮ダメージだけでなく、接客のストレスなどから薄毛に悩むキャバ嬢は意外に多いようだ。それを解消するためにも頭皮の血行をよくするヘッドマッサージなどでケアすることが大切だという。

(文・佐々木栄蔵)

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