暗闇の中で飲食を楽しめる場所があると初めて知ったのは、数年前にヒットした恋愛映画『アバウト・タイム』を見た時だった。その中に男女が真っ暗なレストランで出会うっていうロマンチックなシーンがあって、私はすっかり心を奪われた。
暗闇の飲食店は元々、アメリカが発祥と言われていて、電気を使わずに夜を過ごすという運動から始まったらしい。そしてキャンドルだけで過ごす空間がとてもオシャレってことで、世界に広まったのだとか。
そして、そんな時に付き合っていたのが同じ学校に通う年下の大学生。その子はとにかく奥手で、自分から率先して行動するということも少なく、2人でいても一切私に手を出してこなかった。もちろんデートで手を繋いでくることもない。手繋ぎデートに憧れていた私は、数日後に都内の暗闇カフェへ、彼と一緒に行くことを計画。
週末、2人で暗闇カフェを訪れてみると、キャンドルの照らされた席までの通路が、けっこう暗かった。それでどんどん先に進む彼に「ちょっと待ってよ〜」っていうと、彼はその時、初めて私の手をギュって握ってくれたんだよね。それがキッカケで彼の私に対する緊張感も解けたのか、それからは自然にスキンシップができる仲に。今ではラブラブのカップルです。
(取材/構成・篠田エレナ)
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