最大の惑星はプレミアムボックスだろう。3歳の春にノド鳴りを手術。その後はオーシャンS、CBC賞など短距離重賞2勝を含め、6勝をすべて1200メートル戦で挙げている。
持病があるので、道悪がいいというのは間違いで、「ベストは良馬場の曇り」と松本豊明厩務員に教えられた。まさに、目からウロコである。
「雨馬場だと、呼吸回数が多くなるので逆に負担がかかるわけよ。ノド鳴りの馬でダート巧者はいないでしょう」
松本さんはこの道20年のベテラン。初めて重賞を制覇したプレミアムへの思い入れは強い。
「(定年退職した)親父はグレード制が導入される以前に、確かエリザベス女王杯のトライアルを勝っているけど、重賞勝ち鞍では親父を超えたよ」。松本さんは、そう言って人なつっこい笑顔を浮かべた。
前走のキーンランドCは4着だったが、「乗り方ひとつで2着はあった」と言う。
「直線で進路があいたとき、そのまま突っ込んで前が詰まったらどうしようと、ジョッキー(鮫島騎手)がしゅん巡した。あれを外に出さず、迷わず内をついて伸びてきたら結果は違っていたと思う」
最終追い切りは、同厩舎マイネルスカット(古馬1000万)を5馬身追いかけ、1/2馬身差に迫ったところがゴールだった。ラスト1Fは13秒0を要したが、5F63秒0→49秒1→36秒5と、全体の時計は優秀。「調子に狂いはない」と松本さんはうなずいた。
「頭があってもヒモはない馬だけど、終いは確実に伸びてくる。有力馬は前に行く馬が多いし、展開も味方しそうな気がする。1分7秒台後半の争いなら、可能性はある」。松本さんは金星奪取に目を輝かせた。