もちろん、まっとうな業務をやっている大手プロダクションでもオーディションをやっているが、普通なかなか合格通知は出さない。合格通知を出す以上は、芸能プロダクションとして、タレントを一人前に育てる責任が生じるからだ。
だが、「オーディション詐欺」をやる会社は、どうみてもタレントとして才能がない者にまで合格通知を出しまくり、登録料(レッスン料)を巻き上げる。東京は当然のこと、大阪や名古屋、仙台と、各地方でオーディションを展開し、地方の若者さえも毒牙にかけている。たかが数万円といえども、ワーキングプアの若者にとっては大金であり、数千人に合格通知を出すのだから、数千万から数億万の売り上げになるわけだ。
古典的な方法であり、十数年前から存在する詐欺だが、最近は若干手が込んできている。単純に登録料(レッスン料)を巻き上げるだけでは、詐欺としてバレてしまうので、映画を作り、数千人の登録者のうち、数百人はエキストラとして起用する。そうすれば、「騙すのが前提であった」という非難をかわすことができる。巧妙なカラクリである。民事訴訟で追求されても、映画さえ作ってしまえば「登録者のうち才能がある者だけを起用した。起用されなかった者の逆恨みだ」と反論できるわけだ。
しかし、そもそも映画のエキストラにすらも起用されないほど才能がない者にまで合格通知を出している以上、いくら言い訳しても、詐欺という誹りから逃げることはできない。皆さんもB級タレントや映画を餌にしているインチキオーディションにご注意願いたい。