2019年3月13日、徳島、和歌山の両県に挟まれた紀伊水道でM5.2、震度4の地震が発生した。M5を超える中規模の地震が発生したのは昨年11月以来、約4カ月ぶりのことだが、その際のM5超えは33年ぶりであったため、相次ぐM5超えに南海トラフ地震が近いのではないか、と危ぶまれているのだ。
武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。
「今回地震が発生したのは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込んでいる地点なんですよ。南海トラフ地震がいつ起きるかははっきりしたことは言えませんが、間違いなくXデーに向かって進んでいる。大阪は水の都といわれ、海抜ゼロメートル地帯が広がり、過去の南海トラフ地震でも甚大な被害に見舞われた。将来、大阪万博(2025年)、カジノなども予定されており心配ですね」
直近で震度4以上の揺れを記録したのは3月9日の岐阜県美濃中西部のM4.5、震度4以来、4日ぶり。また、紀伊水道で有感地震が発生したのは、今年に入って今回が8回目。
「紀伊水道は地震活動が非常に活発な海域で昨年は26回もの揺れを観測していた。しかも、昨年11月2日から3月13日までに震度1以上の地震は19回観測されています。これは南海トラフ地震のシグナルですよ。前回の南海トラフ巨大地震である1944年の昭和東南海地震、そして1946年の昭和南海地震の直前期にあたる1938年にM5.0、1941年にM5.8、1943年にM5.0といった中規模の地震が今回とほぼ同じ深さの40、50キロで発生しているんです」(サイエンスライター)
そうしてみれば、紀伊水道の現状は、次の南海トラフ巨大地震発生直前と言えるのだ。
気象庁は「現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません」と言うばかりだが、紀伊半島については紀伊半島北部、紀伊半島中部、紀伊半島西部においてそれぞれ「深部低周波地震活動がみられる」と指摘した。
深部低周波地震は、通常の地震波より周波数が低く、プレート境界の深さ30〜40キロ付近で発生する地震で、プレート境界でスロースリップが発生しているときに起きやすいと考えられている。そして、やがては巨大地震に繋がると見られているのである。
「昨年は、4月に島根西部地震、6月に大阪北部地震を観測した。いずれも、内陸直下型地震です。これらも南海トラフの予兆です。ちなみに、昭和南海地震の前には、3年続けて大きな地震が発生していた」(社会部記者)
(明日に続く)