大阪を中心に強固な地盤を築く『日本維新の会』創設者で、事実上の陰の代表、橋下徹元大阪市長は「山本氏の熱量のすごさ、発想力、そして問題提起能力はものすごい」と山本パワーを絶賛しているほど。機を見るに敏な橋下氏は、山本太郎氏とかつて歩みを共にし、今もツーカーな間柄の小沢一郎氏を介し、連携を視野に動き始めたという。
11月解散説も飛び交う中、野党第一党の立憲民主党は国民民主党と衆参両院で統一会派を結成することで合意している。今後は、各党ともれいわを意識した動きを活発化させるため、一斉に蠢きだした。
政治アナリストが一連の流れをこう解説する。
「れいわは参院選前は各種世論調査で支持率1%前後。それが投開票前後の共同通信調査では約2%。そして今回の8月調査では一気に4.3%に跳ね上がり、共産党の支持率と並んだのです。共産党は先の参院選では比例区で約448万票を集め比例で4議席を獲得している。つまり、共産党と同じということは、れいわは1カ月で支持者を250万人ほど増やし、450万人近くなった可能性もあるのです」
他党と比較すると、この数値の驚異のほどが一目瞭然、よく分かる。参院直前の大阪府知事選、大阪市長選、大阪府議選、大阪市議選、衆院補選などで連戦連勝の維新。参院選比例獲得票数は約490万票だった。その維新の支持率が今回は3.8%で、れいわを下回ったのだ。
それだけではない。参院選比例で7議席を取った公明党は5.1%。れいわにすれば、公明の背中が見えるまで接近した。
「もちろん、共同の世論調査では『れいわ』に高い数値が出たが、他の調査では1%から2%でまだまだ他党とは開きがある。しかし、れいわが勢いを増しているのは事実」(同)
なぜ、支持率が高くなっているかの主要ポイントはこうだ。
(1)れいわは政党要件を満たした政党となり、山本太郎氏のマスコミ露出が多くなった。
(2)消費税廃止論を支持。
(3)40、50代前後のやり直しが利かないロストゼネレーション世代に『生きているだけで価値がある。格差は自己責任ではない。生きているだけでいい社会に政治が変える』の山本演説が庶民のハートに突き刺さりつつある等々…。
「これまで世界の競争社会を戦い抜く方法を模索してきた自民党などは、主張が真逆なため、れいわの急伸長にはピリピリしていますよ」(同)
それゆえ庶民の立場に軸足を置いた山本氏の言動に熱い視線を送っているのが、橋下氏というわけだ。
「橋下氏は『れいわをどう見るか』を各メディアに問われ、『格差是正、所得再配分は賛成だが、ほか、れいわの政策を実行したら日本は沈没する』と切り捨てている。個人責任を問わない、最低賃金1500円、1人あたり月3万円を給付しデフレ脱却、農家への所得補償、大企業優遇ストップ法人税累進課税…。これらを実行すれば、日本沈没必至としている。一方で、橋下氏は『しかし』と付け加え、『次の点がスゴイ』と山本氏をほめちぎったのです」(橋下氏周辺関係者)
橋下氏関係者に言わせると、前述した山本氏の庶民に訴える熱量、発信力、問題提起能力を称え、さらに7月の参院選で自民党が自党の都合で合区問題解消策として生んだ特定枠新制度を逆手に利用した強かさに舌を巻いているのだ。
「特定枠は得票数が少なくても、その党の比例獲得票に応じ優先的に当選できる仕組み。山本氏はその制度で障害者の2人を比例1、2位に据え、自らは捨て身の3位とした。全体得票が及ばず自らは落選したが、2人を当選させ国会内のバリアフリー化、代理人の国会内投票も可能にするなど小泉進次郎氏でも難しかった国会ルールの一部をあっという間に変えてしまった。橋下氏はその度胸と戦略、実行力を高く評価している」
と語るのは維新関係者。
「橋下氏は、マスコミの質問に答えた山本氏の言葉にひどく共感している。それは“安倍首相から『れいわ』の政策を一部取り入れるから手を組もうと誘われたらどうするか”と聞かれた時。山本氏は“自民党が本気ならそれに乗る。何がなんでも野党ということはない。政策実現のため、手をつなげるところとはつなぐ”と宣言した。山本氏と話し合えば共通の素晴らしい政策を出し合えると、橋下氏は確信したようです」
電光石火、橋下氏は山本氏と共同代表をした経緯のある小沢氏に仲介を急ぎ、山本氏と接触する準備に入ったといい、小沢氏も大乗り気だという。
1992年の参院選で政治改革の旗を立てた細川護熙氏は日本新党を創設し4議席、翌年の衆院選では35議席獲得の大躍進を遂げた。自民党を離党した小沢氏は細川氏を総理に担ぎ上げ、非自民政権が樹立された。
「小沢氏の読みはこうです。国民民主党が持つ100億円の埋蔵金プラス、橋下&山本両氏の2大旗頭での新党なら、国民民主と維新の他、自民党の一部からも賛同者が集まる。有権者の支持は爆発的に拡散し、天下取り=政権奪取は確実と」(小沢氏周辺関係者)
令和に再来が起きるか。