「全体的に見ると、西高東低。東日本大震災が発生した2011年以前のものと大差はありません。強いて言えば、'11年以前のものは東北はノーマークだった。それなのに、超巨大地震が起こったのです。なぜノーマークだったのか、その説明もなく国が同じようなマップを公表することには疑問を感じますが…」
たった一人、東日本大震災を予測していた琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏はこう語るが、専門家の間ではストレスが取れたとされる三陸沖は、当分の間は大丈夫なのではという見方が大半だ。
また、地震調査研究推進本部によると、平均して海溝型地震は20年に1回程度、陸域の浅い地震は10年に1回程度起こっているという。そのため、自分の地域で最近地震がないからといって安心するのは禁物。
「実際に、阪神淡路大震災を引き起こしたとされる'95年の兵庫県南部地震は、近年ほとんど大きな地震の起こっていなかった場所で発生し、大きな被害をもたらしたのです。また、相対的に確率が低い地域でも油断はできません。そのような地域でも、1983年の日本海中部地震や2005年の福岡県西方沖の地震、'07年の能登半島地震のように、ひとたび地震が起これば強い揺れに見舞われる場合もあるのです」(前出・サイエンスライター)
それらを頭の片隅に入れた上で、あらためてマップを見てみよう。
北海道で何といっても低いのは、札幌、函館、旭川である。札幌、函館が0.9%で、旭川は何と0.4%なのだ。ただし1993年、奥尻地震とも呼ばれる北海道南西沖地震(M7.8、最大震度6)が発生。震源に近い奥尻島を中心に、火災や津波で大きな被害を出し、死者202人、行方不明者28人の被害が出ている。
「北海道西部と日本海の境界には、日本列島断層という断層があると、私は考えています。それは日本海を下りてきて、能登半島の付け根から瀬戸内を通り、島原半島を経て沖縄に抜ける。その上では地震が起こりやすいのです」(前出・木村氏)
日本海側は比較的低いものの、先に記したように、1983年に日本海中部地震(M7.7、最大震度5)というのも発生している。秋田県能代市西方沖が震源で、秋田県・青森県・山形県の日本海側で10メートルを超える津波の被害が出た。結果、104人が亡くなっている。