夕刊紙記者がこう囁く。
「実は、今年3月いっぱいで『報道ステーション』(テレビ朝日系)の降板が決まっている古舘伊知郎キャスターが、小沢一郎氏らの野党連合の旗頭として参院選に立候補するという話が駆け巡っているのです。古舘降板は、自民党が『反自民の姿勢が露骨な古舘を降板させなければ何らかの制裁措置を取る』との旨をチラつかせ、それに怯えたテレ朝の幹部連中が独断で決定したという説が根強い。そのしっぺ返しとして、古舘が参院選に野党から立候補し、自民党に鉄槌を食らわせるというのです」
藪を突き蛇を飛び出させてしまったかの感がある自民党は、この動きに危機感を募らせ、対策と陣営引き締めに躍起になっているという。何より、古舘立候補の話が飛び出す以前から、自民党内には野党連合への警戒感が強まっていた。
全国紙の編集委員がこう解説する。
「民主、共産、維新、社民などは昨年暮れ、今夏の参院選の熊本選挙区に、弁護士で新人の阿部広美氏を無所属で擁立すると正式発表している。この統一候補を巡っては、安保法案に反対の各党が足並みを揃え、最後は共産党が公認候補を取り下げ実現した。同選挙区には自民党現職の松村祥史氏がいるが、この決定には大慌てで、緊迫度をマックスに上げ早くも臨戦態勢だといいます」
それもそのはず。野党がバラバラだった2010年の選挙では、松村氏が次点の民主候補に4万4000票余の差で競り勝った。しかし、この時の野党全候補の得票数は単純計算で合計すると約48万票で、松村氏の得票を9万票近く上回る計算となる。野党統一候補となれば松村氏は落選の危機だ。同様の野党統一候補は、石川県でも実現している。
では、こうした野党統一候補の擁立機運は、いつごろから芽生えだしたのか。
'13年夏、安倍政権下で行われた参院選で自民党が大勝し、改選議席を大幅に上回って31議席も増やした。この参院選では当時、「自公圧勝と言うが、野党の総得票は自公を超えている。野党が手を携えれば勝てるのに…」とも囁かれていた。
「この傾向は、最近の総選挙でも顕著でした。しかし統一候補が現実化しなかったのは、野党各党のエゴ、各議員の国会議員になりたいという思惑、また、彼らの支援組織が自分の組織だけは議席を死守したいという縄張り争いがあったからなのです」(野党関係者)