普及に拍車を掛けたのは2006年にハイウェイカードの利用が全面的に停止されたのがきっかけ。また、民主党政権下の'09年には“1000円で高速道路走りたい放題”政策があり、週末ドライバーもこぞってETC車載器購入に走った。
「当時は車載器が品切れになり、価格が高騰しました。中には2カ月も装着の順番待ちをした方もいます」(都内カー用品販売店)
ETCの利用率は年々高まっており、累計セットアップ数は平成27年7月までに約6790万件。サービスが始まった平成13年には0.9%だったものが、およそ15年を経て89.9%(共に国土交通省調べ)にまで上昇した。実際には料金支払い用のクレジットカードを持っていない人や、高速道路を利用しない人もいるため、利用率の上限は95%程度とも言われているので、現段階でほぼ行き渡ったと言っていいだろう。
最近では新車購入時にほぼETCの装着が前提となっているし、中古でもすでに装着済みの車も多い。
ここまで普及率が高まれば、後はいかに安定して運用していくことが課題かと思われるのだが、実は国土交通省がさらなる進化版『ETC2.0』を導入し始めているのをご存じだろうか。2.0? 進化版? いったい、今のETCと何が違うのだろう。
「ETC2.0とは、道路に設置されているITSスポットと呼ばれる装置と車側の対応カーナビや車載器で高速・大容量のデータ通信を行い、さまざまな道路交通情報をやり取りできるシステムです。今までのETCは利用区間の計測と料金の支払いに使用していましたが、新型ではこれに加えて双方向通信できるところが特徴。道路上の事故情報や落下物の注意喚起、最新の渋滞情報を受けての最適ルートの提示、災害時の支援情報などが即座に受けられます」(自動車専門誌ライター)
なるほど、ただ料金を支払うだけの機能から、車載のカーナビなどと連動させてより多くの有益な情報をやり取りすることができるようだ。実際に高速道路上で地震などの災害が発生した場合には「地震発生、通行止めです。後方を確認しハザードランプを点け、ゆっくり左側に停車して下さい」などという音声が流れるという。
また、渋滞時には連動ナビによるアナウンスによって、その手前でいったん、一般道へ誘導。渋滞を回避後、近くのインターから再度高速に乗るといったナビゲーションも可能になり、このための割引制度も導入するという。