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阪神、矢野監督が元中日・井上氏を抜擢するワケ 「駆け引き」による1・2番コンビの成長も狙いか

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 地味な人選のように伝えられているが、大きな成果が期待できそうだ。このコーチ人事で、矢野燿大監督(50)の目指す野球スタイルも見えてきた。

 矢野阪神から早くも来季の新コーチ人事案が伝えられた。正式発表ではなく、“球団内部から漏れ伝わってきた情報”として扱われていたが、新打撃コーチに元中日二軍監督の井上一樹氏(48)の名前が挙がっているという。

 関西方面で活動しているプロ野球解説者がこう言う。

 「一軍と二軍の入れ替えを含め、色々と意見交換をしていると(阪神首脳陣が)言っていました。コーチの外部招聘も否定していませんでした」

 井上氏の名前を見てピンと来たのが、「矢野監督のルート」。中日でプロ生活をスタートさせ、阪神で引退。阪神フロントの前で、気心の知れた中日時代の同僚の名前を出したのだろう。また、こうも考えられる。阪神には大山、陽川、中谷、江越といった長打力を秘めた右バッターがいる。チーム総本塁打数の少ない阪神にとって(89本リーグ5位/9月16日時点)、まだ覚醒していない彼らを一人前にすることが一番の強化策だ。左打ちだった井上氏よりも、「右打ちのOB」、「長距離砲を育てた実績のある人」を招聘すべきではないかと思った。

 しかし、「なぜ、左打ちの井上氏なのか」を考えた場合、今の阪神の弱点がピンポイントで重なってくるのだ。

 「チャンスは多くなればなるほど得点できやすいし、それがウチの野球だと思うんでね」

 これは、ペナントレースも「残り15試合」となった9月10日に出た矢野監督のセリフ。「1番・木浪、2番・近本」の左打ちの新人2人を、最後までこの打順で使い続けると断言した。

 2人とも、新人として合格点の付けられる活躍だが、1、2番コンビとしては“アマチュア以下”だ。木浪が出塁しても近本で併殺、あるいは、走者を進められないといった雑な攻撃を続けている。

 野球には得点差、イニング、相手投手の好不調などによって、攻撃の選択肢が変わってくる。バントなのか、右方向に打って走者を進めるのか、それとも、強攻策に出るべきか。そういった状況に応じた工夫が、この1、2番コンビには見られないのだ。

 井上氏は長打が売りだったが、玄人受けする選手でもあった。それは、「たとえ自分がアウトになっても、最低限の仕事として、走者を進めるための打撃技術」を持っていたからだ。

 「現役時代の井上氏は、対戦ピッチャーと駆け引きができていました。単に右方向に打って走者を進めるだけではなく、2ストライク以降もファールを意図的に重ね、投球数を多くさせたり」(前出・プロ野球解説者)

 また、阪神には糸原、高山といった伸びしろを持った左バッターもいる。1、2番コンビが機能し、糸原、高山が成長すれば、得点効率は絶対に上がる。

 矢野監督はチャンス・メイクのできる選手をたくさん作り、一発に頼らなくても得点を挙げることのできる打線を理想としているのだろう。井上氏の招聘。実現したら、阪神打線を変貌させる可能性がある。(スポーツライター・飯山満)

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