3歳春にはクラシック候補の一頭に数えられた実力馬だ。しかし、その後は苦闘の日々が続いた。サラブレッドにとって、致命傷ともいえる屈腱炎を発症。ナムラマースは長期休養を余儀なくされた。
しかも、その影響が尾を引き、復帰戦となった昨春の金鯱賞時も脚元を気にするあまり、目いっぱいの攻め馬ができなかった。結果は屈辱の15着大敗となった。
しかし、待てば海路の日和あり…。夏場を無理せず休養にあて、脚元を念入りにケアしたかいがあり、ようやく不安は一掃された。屈腱炎がほぼ完治した分、秋以降は坂路、コースを併用してビッシリと調整できるようになった。
「金鯱賞では脚元を気にして坂路でしか調整できなかった。それに比べると今はDWでも追い切れるようになっている。その分、これまでとは違って思い切り攻め馬ができるようになった」と福島信調教師は攻めの仕上げをアピールする。
前走の鳴尾記念(2着)では復調ぶりを十分に見せつけた。スタートではハミを取らずに大きく置かれながら、直線では豪快な伸び脚で最速の上がり(3F)35秒5を駆使した。サクラメガワンダーには3馬身差で敗れたものの、陣営が復活気配を感じ取るには十分な競馬だった。
「勝った馬は好位からの競馬で、ウチのは最後方から。着差だけ見れば0秒5差と完敗だけど、通ったコースや位置取りを考えれば力差はなかったと思う」と指揮官も内容を高く評価した。
手応えは十分につかんだ。あとは結果。3つ目のタイトル奪取こそが完全復活の証明となる。
「今度は二四になるけど、ダービーですでに経験済みだし、終いを生かすには京都の外回りはピッタリ。何とかここで重賞を勝ちたい」
再び、夢のGIの舞台へ。そのためにも自らの手で久々のタイトルを獲る!