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渋谷淳の渾身のローブロー

 43年間、獄中から無罪を訴え続ける元プロボクサーの死刑囚、袴田巌さんを支援する活動が静かに熱を帯びてきた。きっかけは足利事件。ご存じの方も多いだろう。新たなDNA鑑定で無罪が証明され、逮捕から17年ぶりに釈放された菅家利和さんの事件である。

 簡単に説明しよう。菅家さんは90年、栃木県足利市で女児が殺害された事件の犯人として逮捕され、その後の裁判で無期懲役が確定。しかし、最近になって裁判の決め手となったDNA鑑定が間違いであったことが明らかになり、菅家さんは釈放されたのである。
 裁判とはつくづく恐ろしいと思う。被告が無罪を主張しているにもかかわらず、“優秀な”裁判官たちは地裁、高裁、最高裁と次々に有罪判決を下し、17年にわたって無罪の人間を牢屋にぶち込んでいたのだ。もし自分がこんな目にあったら…。考えただけで、頭がおかしくなりそうだ。

 さあ、袴田事件である。こちらは何と43年。しかも死刑囚。あの手、この手の弁護活動は、すべて裁判所に跳ね返されてきた。弁護団や支援者だって気持ちはなえる。そこに降ってわいた足利事件のニュースだ。ケースが異なるとはいえ、判決が覆ったという事実はでかい。菅家さんの釈放は、関係者にとてつもなく大きな希望を与えた。
 地道な活動を続けている東日本ボクシング協会の袴田支援員会もにわかに活気づいた。活動の中心人物、新田渉世委員長は「この流れを袴田事件にも持ち込みたい」と語気を強める。今後は各支援団体と連携し、袴田事件のDNA再鑑定を後押しする考えだ。
 弁護団はいま、新たな局面を作るべく、今後の弁護活動の準備を進めている。おそらく年内にはそうした動きが本格化するだろう。ボクシング業界もこの1年が勝負どころとにらんでいる。本稿では折にふれて袴田事件の報告をしていくつもりだ。

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