在阪記者がこう語る。
「橋下は11月12日の記者会見で、大阪都構想に反対した公明党をやり玉に挙げ、『やられたままで人生を終わらせることはできない』と豪語。公明党大阪府代表の佐藤茂樹衆院議員の選挙区(大阪3区)への出馬を検討し、当初は維新が総選挙の台風の目となることが予想されていたのです。ところが、23日になって突如これを撤回。求心力が一気に地盤沈下し、同党若手候補が軒並み惨敗する可能性が指摘され出したのです」
ちなみに、維新の衆院議員数は現在42人。江田憲司共同代表率いる旧結の党や民主、自民党からの合流組を除くと約半数が1期生の橋下チルドレンで、最悪の場合維新は議席を半減させる可能性も高いのである。
もっとも、橋下氏がこの苦肉の策を選択したのには、同氏一流の策略が渦巻いているとの見方もある。
「橋下は不出馬表明と同時に、公明党候補の出馬する大阪や兵庫の選挙区に対立候補を立てない方針を打ち出したが、これは前回衆院選で公明党と密約を結んだときと同じ状況。今回の方向転換は、一度は裏切った公明党と再び密約を交わしたと評判で、都構想の実現を最優先させたとみられているのです」(同)
また、政治部記者が言う。
「橋下出馬で維新の大躍進が期待されたときには、野党共闘の話も現実味を帯びた。だが、橋下がこれを蹴って公明党と再度組んだのは、安倍政権に恩を売りたかったから。大阪都構想を実現して中央政界に乗り出した暁に、維新と自らを与党入りさせる遠大な計略といわれているのです」
ただ、そうは言っても不出馬表明で起きた地盤沈下は目を見張るほど。そのため、今ではこんな声すら飛び出しているのだ。
「維新の議席数が半減すれば、再び公明党が裏切る可能性もある。やはり、橋下氏は政局を見誤ったのです」(野党担当記者)
策士が策に溺れたか?