スタート直後の場内にどよめきの歓声が上がった。何とロジユニヴァースが意表を突いて逃げに出たのだ。ところが、奇抜に見えた作戦(?)も、最終追い切り終了時に綿密な打ち合わせを行っていた横山典騎手、萩原調教師にとっては「想定内だった」というから心憎い。
さらに、感心してしまうのが、4連勝の決まり手がすべて違うこと。この日、一人旅を決めたことにより、逃げ、先行(ラジオNIKKEI杯2歳S)、差し(新馬、札幌2歳S)とあらゆるスタイルで結果を出した。まさに変幻自在だ。
それにしても、直線のパフォーマンスは、史上2頭目の無敗の3冠馬に輝いたディープインパクトをほうふつさせるものがあった。最後は流す余裕を見せながら、2馬身2分の1差と決定的な着差をつけてのフィニッシュだ。「負荷のかからない競馬ができたのは何より。本番が待ち遠しくてわくわくしている」と横山典騎手。心の中では、すでに人差し指を天高く突き刺していたに違いない。
一方、ひと際印象的だったのは、久米田正明オーナーのこの感想。「トキノミノルの10連勝を超えたいですね」。リーチザクラウンにセイウンワンダー…。これまでのレースでライバルたちとの勝負付けは済んだ。往年の名馬超えも、もはや夢ではなくなった。