桜花賞と同じ距離で日程的にも余裕があるチューリップ賞と比べて、フィリーズレビューは距離が1F短い1400メートルで、本番まで中3週とこの時期の牝馬には強行軍だ。そのせいか、過去10年でこのレースを勝って桜花賞も制したのは2005年のラインクラフトのみとなっている。さて、今年はどうか。
1999年の勝ち馬フサイチエアデールも潜在能力は間違いなくGI級だったが、牝馬クラシックは無冠に終わった。シンザン記念で重賞初制覇を達成した勢いで、このTRに登場。武豊鞍上、牡馬相手に重賞を制した実績から単勝170円の圧倒的1番人気に支持された。
レースは、その期待に応える実に力強いものだった。逃げたコウエイロマンがつくるハイペースを5、6番手で悠々と追走。直線も文句なしの瞬発力を発揮して、2着のステファニーチャンに決定的な3馬身の差をつけた。
この勢いで桜花賞は2歳女王スティンガーと人気を分けあった。しかし、勝ったのは4番人気の伏兵プリモディーネで惜しくも2着に終わった。その後のオークス(5着)は伏兵ウメノファイバーの大駆けに遭い、最後の秋華賞(5着)は超大穴ブゼンキャンドルの決め手に屈した。さらに、古馬牝馬に挑んだエリザベス女王杯もメジロドーベルの2着と善戦止まりだった。
GIのタイトルこそ手中にできなかったが、勝ち馬が猫の目のように変わったこの年の牝馬戦線において、常に上位争いを演じた堅実さ、丈夫さは特筆すべきものがあった。結局、4歳暮れまで現役を続けたエアデールは重賞4勝と素晴らしい成績を残して引退、繁殖入りした。
GIの夢はその産駒に引き継がれ、クロフネとの間に産まれたフサイチリシャールが朝日杯FSを制した。その時の鞍上は福永。くしくも桜花賞で夢を砕かれたプリモディーネの鞍上にアダを恩で返してもらう格好となった。