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お笑い芸人の間で広まりつつある売れるバイトって何?

 “笑い”という不明瞭な仕事を選んだため、芸人にはジンクスを重んじる者が多い。ひと昔前なら、ワンルームマンション。東京・中野の某マンションの201号室にはこれまで、木村祐一、雨上がり決死隊・宮迫博之、宮川大輔が住み、順番に売れていったため、“売れるマンション”と騒がれた。それを信じて入居したのが、水玉れっぷう隊・アキ。しかし、壁の色を塗り替えたことが原因(といわれている)で運気が停滞。その後に入居したしあつ野郎は15年、診療報酬詐取事件に巻き込まれている。

 ほかにも、売れる財布や売れるソファなど、手にした芸人が売れていったため、ジンクスは現実味を帯びていった。そんななか、最新版というべきものが生まれた。アルバイトである。

 都内の某コールセンター。そこの古株が、Wコロン・木曽さんちゅうだった。相方・ねづっちの“即興なぞかけ”が、10年に大ブレイク。「ととのいました!」は同年の新語・流行語大賞トップ10に選ばれるほど、知らぬ者がいない存在になった。

 そのころのバイト仲間が、バイきんぐ・西村瑞樹。“地味なほう”だが、『キングオブコント2012』で王者になって大ブレイク。相方の小峠英二との間で生じたコンビ格差は埋められないが、コントには定評がある。

 このオフィスから誕生した最大のヒットメーカーは、ナイツ・塙宣之。『M-1グランプリ2008』でメジャー舞台を初経験すると、言い間違いの“ヤホー漫才”でブレイク。そこから3年連続決勝戦に進出する快挙を達成し、マイナーな浅草芸人の露出も上げた。今なお、舞台とテレビを兼任する超メジャー漫才師だ。

 新しいところでは、じゅんいちダビッドソン。サッカー・本田圭佑のものまねで、無回転シュートに掛けたひねらないネタ“無回転なぞかけ”で、『R-1ぐらんぷり2015』で優勝。その2か月前には、結婚もしている。

 1度はチャンスをつかんだ若手枠では、エルシャラカーニ・セイワ太一。エルシャラは、『THE MANZAI 2011』で決勝戦進出を初体験。翌12年にも、ワイルドカードから決勝戦進出を果たしている。同じく、風藤松原・風藤康二。『THE MANZAI 2013』で念願の決戦戦進出を果たしたが、エルシャラと同様に、描いたような爪跡を残せなかった。

 そんなバイト生として今なお奮闘中なのが、先のセイワ、風藤に加えて、ヴィンテージ・のぶ、オキシジェン・三好博道。ヴィンテージ・しゅんは現在、大人気バラエティ『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)に不定期出演中。オキシジェンは今年6月、社団法人漫才協会が主催する『漫才新人大賞』で優勝している。

 もはや、その打率は10割といっても過言ではない。しかし、いまだにバイト生活から抜けられない芸人もいるため、芸人稼業は世知辛い…のである。

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