当日のメインイベントはガッツ石島&ダイスケvs.梁和平&藤田峰雄というカード。この試合で石島とダイスケは「正式な試合としては初めてプロと対戦」したのであった。試合は27分3秒、タイガー・スープレックスで藤田が石島からピンフォールを収めている。
時は流れ、都内を中心として興行を行ってきたガッツワールドは旗揚げを行ってから6年の歳月が流れていた。
所属選手も増え、ガッツワールド内でのタイトルもシングル・タッグ・6人タッグと充実している。だが2010年3月大会を最後に旗揚げの地新木場での開催を行っていなかった。
在京インディー団体の増加による興行戦争、選手のスケジュール等難しい面もあり、観客動員数は芳しくなかった現実にさらされてしまう。それでもガッツワールドの火を消すまいと懸命に都内各所で興行を行ってきた。
8月には蕨・イサミレッスル武闘館において週に1回の興行「Truth」という新ブランドを立ち上げる。ガッツワールドの真実を見せると銘打って始まったこの大会、加えて選手の試合経験を増やす事も目論んでいたのだろう。
何としても記念大会は自分達が出発した地で行いたい。その気持ちが強く感じられた12月4日新木場大会には236人(満員)の観客を集めた。地道に行ってきた結果が生んだ満員の新木場、喜びもひとしおだったであろう。
メインイベントで行われたのはガッツワールドと苦楽を共にしたガッツ石島とダイスケの二人によるタイトルマッチ。このシングルは2005年12月3日、新木場で行われた旗揚げ1周年記念大会で実現した限り。ガッツワールドでは本当の意味でのプレミアカードとも言えるこの試合を大事な大会のメインに据えた。
先に入場したのはダイスケ。自らの保持するGWCタッグ、6人タッグのベルトを掲げて入場する。
GWCシングル王者である石島は再編成されたデビルワールドの面々、円華・CHANGO・アミーゴ鈴木と共に入場。高々とベルトを掲げ満員の新木場にアピールする石島。
序盤戦は学生時代から培ってきたグラウンドを続ける両者。静かな展開の中で見せたかった二人の基礎。
立ち上がるとショルダータックル合戦からダイスケの変則ロープワーク、そしてジャンピング・エルボーパッド。プロとしてリングに上がってきた二人による鍛えられた肉体のぶつかり合い。
直後にいきなり切り札のスライディングDを放ったダイスケ、余裕をもってかわし場外にエスケープする石島。追うダイスケはエプロンからセカンドロープを蹴ってトペ・コンヒーロを放つ。SEMや鬼神道にも上がったダイスケの進化形。
マンハッタンドロップで優位に立ったダイスケの流れを断ち、サッカーボールキック、滞空時間の長いブレーンバスターでダイスケにダメージを与える石島。試合経験の中で培った石島のテクニックとパワー。
ダイスケのジャンピング・エルボーパッドを自爆させた石島はセコンドを介入させてダイスケの腕を集中攻撃、観客の怒りを買う。絶対的ベビーフェースとヒールという系図をこれでもかと表現する。
やられても、やられても立ち上がっていくダイスケ、反撃のライトハンド・ラリアットからジャンピング・エルボーパッド、フィッシャーマンズスープレックス、ミサイルキック。石島のラリアットをかわしてファルコンアロー。
再び劣勢に立つとセコンドを介入させる石島、「ハッピーエンドばかりがプロレスじゃない」と言い放ったシングル王座奪取の時の言葉が脳裏を横切る。王座防衛の為手段を選ばない執念。
マテマティカ・バスターから冬木スペシャルを見せた石島、一気に優位に立つとフィッシャーマンズ・バスターからデーモンボムを連発。切り札の腕極めノーザンライト・スープレックスをこらえたダイスケはロックボトム。両者ダウンから立ち上がると石島はローキックから突然の延髄斬り。コーナーで雄叫びを上げて地団駄ラリアットを放とうとする。レジェンドに対する敬意、その中に自分達を表現する両者。
ラリアットをかわしたダイスケはローリング・エルボー。勝機を見出したダイスケは一気に変形ネックブリーカーから伝家の宝刀スライディングDと繋いで遂に石島をマットに沈めた。5年前に行われたシングル対決の借りを返すと同時に、ガッツワールドで認定されている全てのタイトルを奪取しグランドスラムを達成したダイスケであった。
敗れた石島は絶対的優位に立ちながらの敗北にマットを両手で叩いて悔しがる。最後までヒールを突き通した男の心の叫びがそこにあったような気がした。
最後はガッツワールド正規軍、助っ人の松崎和彦や星野勘九郎、STYLE-E勢が揃って「3、2、1、ガッツル! ガッツル!」を行って大会は締められた。
念願のグランドスラムを達成し、満員の観客にアピールできた事でまずはほっとできたであろうダイスケ。試合後の囲み取材でも安堵と達成感に満ちた表情をしていた事が印象的だった。
しかし、まだまだ道は険しい。ガッツワールド内でのタイトルホルダーである事を誇りにし、他団体でも自分の地位を上げていかなければならない。ダイスケはグランドスラムという栄誉と共に、ガッツワールドを背負って戦い続けなければならないという重い十字架を背負ったのだ。
今後は「GWC認定シングル王者」として各団体のリングにも上がるダイスケ。自らを高めていく事によりガッツワールドの品位も上げていかなければならない。過酷な試合が続くであろうが、彼ならひょうひょうとした笑顔でこう言うだろう。「どんな事があっても負けちゃいられませんよ、いや、ホントで」。
(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))
◆『ガッツワールドvol.44』
2010年12月4日(土)
会場:東京・新木場『新木場1st RING』(観客236人=満員)
<メインイベント GWC認定シングル選手権試合 60分1本勝負>
○〔挑戦者〕ダイスケ(20分14秒 体固め)●〔王者〕ガッツ石島
※スライディングD 初代王者が二度目の防衛に失敗、ダイスケが第二代王者となる。
<セミファイナル タッグマッチ 45分1本勝負>
竹田誠志【STYLE-E】&○吉野達彦(11分12秒 アスリートジャーマン)星野勘九郎【大日本プロレス】&●山本SAN
<第5試合 GWC認定6人タッグ次期挑戦者決定戦 60分1本勝負>
○清水基嗣&小川内潤&ベアー福田【SECRET BASE】(13分02秒 片エビ固め)●梁和平&CHANGO&アミーゴ鈴木
※メスリカンドライブ 清水&小川内&福田組が次期挑戦者に決定。
<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
○中野巽耀&バンジー高田(12分10秒 逆片エビ固め)田村和宏&●那須晃太郎【STYLE-E】
<第3試合 アイスリボン提供試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
みなみ飛香&○真琴(12分54秒 片エビ固め)志田光&●松本都 ※コーナーからのローリング・セントーン
<第2試合 ストリートファイトタッグマッチ 30分1本勝負>
gosaku&○マスクドミステリー(10分15秒 体固め)円華&●角刈海坊主 ※ミステリー技
<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
○松崎和彦(8分56秒 片エビ固め)●山田太郎【666】 ※垂直落下式ブレーンバスター
◆ガッツワールド今後の大会予定
「Truth」(いずれも開場19:00/開始19:30)
◎Truth#17 2010年12月7日(火)蕨・イサミレッスル武闘館
◎Truth#18 2010年12月14日(火)蕨・イサミレッスル武闘館
◎Truth#19 2010年12月21日(火)蕨・イサミレッスル武闘館
◎Truth#20 2010年12月28日(火)蕨・イサミレッスル武闘館
「ガッツワールド」
◎ガッツワールドvol.45 2011年1月10日(月・祝)北千住・シアター1010ミニシアター 開場12:00/開始12:30
チケット、その他お問い合わせはガッツワールドプロレスリング事務局 info@guts-world.com まで。
ガッツワールド&Truthオフィシャルサイト http://guts-world.com/