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格闘技界斜め斬り・三者三様 中邑が猪木に宣戦布告

 吉川 今回は緊急特別編として、新IWGP王者の中邑真輔が、IWGP創始者の猪木に宣戦布告した問題を取り上げたいと思います。新日本のオーナーが猪木からユークスに変わってからは、新日本と猪木は相容れず、接点がまるでなかったわけですが…。

 永島 聞くところによると犬猿の仲で、新日本では猪木という言葉は禁句らしいしね。でも俺は中邑の行動は当然のことだと思う。IWGPといえばやはり猪木。IWGPの価値観をあげるために、初代王者の猪木は避けて通れないし、これを止めるのはおかしいよ。

 菊池 新日本は猪木とはもう関わらないほうがいいよ。また丸め込まれていいように使われるかもしれない。猪木が試合をするわけじゃないんだから、きっかけを与えるだけになってしまう。

 永島 菊池さん、それは違いますよ。こんなスキャンダルはない。犬猿の仲になっているからこそ面白いんですよ。プロレス界は当事者が嫌うことをやればファンが一番盛り上がる。だから猪木も新日本もこのスキャンダルをうまく生かすべき。新日本にもいろんな事情があるだろうけど、IWGP王者が口にした言葉を受け止めてほしいね。中邑と“猪木が代表に立てた”選手とやるとなれば、いまのボーダレスのプロレス界にものすごいクサビを打ち込むことになる。

 吉川 ただ、新日本は中邑の発言に困惑気味ですね。新体制になってからは棚橋、中邑の二本柱で新しいものを作り出しながら、猪木の影を徐々に消してきたわけですから。

 菊池 急に猪木といわれてもな。中邑がストロングスタイルを掲げる以上、猪木へのこだわりはあるんだろうけど、むしろ意識しなくていいんだよ。「猪木のストロングスタイルとは違うんだ、これが本当のストロングスタイルだ」というものをやってくれればいいんだよ。

 吉川 ただ、中邑も新日本と猪木の関係を理解しているはずで、にも関わらず猪木に食ってかかるところに、覚悟のほどが見て取れます。

 永島 IGFも上品な言葉で対応するのでなく、来るなら来いでいいんだよ。それに宮戸の言葉ではなく、猪木に国際電話を入れて、猪木の正式コメントを出すのが当たり前。やるなら戦争でなければ意味がないよ。

<プロフィール>
菊池孝(きくち・たかし)史上最長のプロレス評論家
永島勝司(ながしま・かつじ)本紙統括プロデューサー
吉川義治(きっかわ・よしはる)元週刊ゴング編集長

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