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北朝鮮核施設“爆破ショー”のでたらめ、あす27日決行

 北朝鮮があす27日、核施設の“爆破ショー”を行うことに注目が集まっている。前代未聞のショーが決行されるのは、平壌市から北に約80kmの寧辺(ニョンビョン)にあるポンコツ施設。各国の代表的メディアが生中継取材などを予定しているが、実際は古くて使い物にならないといわれる施設を派手にドカーンと吹き飛ばすだけ。金正日総書記による、世界を相手にしたデタラメなショーである。

 爆破するのは、高さ約20mの原子炉冷却塔で、北朝鮮の核開発計画を象徴する建物といわれる。いわゆる片田舎の寧辺には核施設が集中しており、1994年に米国の偵察衛星によってこれら施設が発見された。
 既に本紙をはじめ世界各国の大多数のメディアがその写真を入手している。本来ならば、このテの施設は存在を知られてはならず、写真を撮られるなどもってのほか。建物の老朽化もあって事実上用済みになっている。
 北朝鮮はこのショーに、米CNNテレビ、韓国MBCテレビ、ロシアのタス通信など6カ国協議参加国をそれぞれ代表するメディアを招待しているといわれる。特別に撮影を許可することによって、その映像を全世界に配信させ、核放棄をアピールしたいからだ。実際、CNNは生中継を行う予定という。
 しかし、その実効性には冷ややかな見方がある。北朝鮮事情通は「冷却塔のみならず、寧辺の核施設は老朽化が激しい。いわばポンコツだ。使い物にならない代物を爆破によって解体する、まさしく“ショー”に過ぎない」と指摘する。
 しかも今回、北朝鮮のほうからメディアに取材に来ないか?と声を掛けておきながら、「参加費」の名目で取材費をせびっているとの未確認情報もある。事実とすれば、相変わらずのしたたかさである。
 映画好きの「将軍様」がいかにも好みそうな派手な演出。この爆破ショーを強気に押し進める背景には、米国との核交渉が大詰めを迎えていることがある。北朝鮮はきょう26日にも「すべての核計画の申告」を米側に提出する予定で、これを受けたブッシュ政権は「テロ支援国家指定リスト」から北朝鮮を除外する手続きに入るとみられる。
 リストから外されれば、世界各国から経済援助を得られるようになり、膨大な資金が北朝鮮に流れ込むことになる。関係諸国にも米朝関係の良好さを印象付けられる。
 テロ支援国家指定リストに北朝鮮が明記されてから20年が経った。その間の北朝鮮の窮状は巷間伝えられている通りで、指定解除は長年の悲願だった。
 常に最小限の犠牲で最大限の利益を得ることを考える金正日総書記。拉致被害者問題が解決しないうちに、まやかしのショーに高い入場料が支払われるとしたら、なんとも皮肉な話である。

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