野地容疑者の奇行グセは近隣では有名で、命令調の奇声で威かくするタイプだった。一人暮らしのマンション自室で深夜に「出て行け!」と大声で叫んだり、階下の部屋に「静かにしろ!」と怒鳴り込むなどの奇行がたびたび目撃されていたことが16日、近隣住民の証言で分かった。
昨年秋、不審に感じた住民が福岡県警に通報した際、駆け付けた警察官は「インターホンを押しても出てこない」と容疑者に接触しなかった。
早良署捜査本部の調べに野地容疑者は容疑を認めており、金目当てで襲ったと供述しているが、バッグや財布は現場に残されていた。今回の刺殺現場から700m先で3月に女性会社員(31)が刺されて重傷を負った事件についても「自分がやった」と関与を認めたという。通報対応をしっかりとしていれば、2件の凶行を防げた可能性が高いだけに福岡県警の諦めの早さが悔やまれる。
捜査本部によると、野地容疑者は佐賀市出身で独身。マンション住民の話を総合すると、昨年夏ごろ4階の部屋に単身入居して以降、自室からは深夜にたびたび「出て行け!」「コラ!」「開けろ!」「うるさい!」など獣のような叫び声が聞こえた。下の階に住む男性(21)によると、音も立てていないのに「静かにしろ!」と怒鳴り込んできたこともあり、この男性は「何をされるか分からないと思った」と振り返った。