小岩・翼(仮名・24歳)
AV女優兼キャバクラ嬢。多そうで案外少ない組み合わせだ。むしろキャバ嬢から始まりAVに出て風俗へ。こっちの方が普通。AV女優が兼業するのは断然風俗。実際考えてもらえば分かるだろうが、狙っていて落ちない女の子が、所変わればセックスしてお金貰っていたら、そりゃ萎える。
往年の有名AV女優がクラブ開店という話はあっても(成功するのは稀だが)、銀座・六本木のクラブ嬢というケースはまずない。新宿、池袋、上野、赤羽…チラホラ現われ始める。AVキャバ嬢の生息地は下町や私鉄沿線の大衆キャバであることが多い。
AV女優がキャバ勤めをするのは、結構しんどい目にも遭う。小岩のキャバクラ『C』に勤務する翼さん(仮名・24歳)。レンタルデビュー後、インディーズに活動場所を移してブレイクした。奥菜恵を小顔でシャープにした美形ギャルだ。キャバ勤めを始めたのは、新規開店の看板撮影がキッカケ。事務所を通しての仕事で、開店時に看板娘がいないのでは話にならないので、1か月ほどお店に顔を出すのも込みのお仕事だったそう。「そこは西葛西のお店で、1か月経ったら終了のつもりだったんだけど、その間にお客さんがついちゃって、何だかズルズル続いてしまった(笑)。そこには1年くらい居て、小岩に系列店ができる時、一緒に移ったんだよね。何だかんだでもう2年以上も働いている計算かな」
出勤ペースは週3日ほど。AV撮影は2〜3か月に1回ほどだが、撮影以外にも打ち合わせや地方ショップへの営業、イベント出演、サイン会などなど細かい仕事があり、それが突発的な場合もあるので、お店のシフトを組めないことが多い。「お店に出る時は、お客さんに連絡入れたり、逆に熱い客から“今日居る?”とか連絡入ると出勤したり(笑)。結構アバウトです」
こんな当てにならない出勤スケジュールでも、出勤する時はちゃんと客も連れて来るうえ、彼女がいる日は売り上げがアップするのでお店も文句は言わない。「翼ってお客さんから絶対プレゼントとか貰わないの。本当は気が弱くて断れない性格だから。AVを始めたのも同級生の子がスカウトやってて、どうしてもってお願いされたのが理由だし。断れないんだよねえ、だからプレゼントなんか貰ったら絶対負担になっちゃうもん。だから、プレゼントしたいって言われたら、その分お店で使ってもらう。ドンペリ飲ませてもらったり、フルーツ山盛りでヨロシク! って感じでガンガン使ってもらいます」
<出演したAVを持参していろいろ聞かれる>
ちゃきちゃきした口調で、仕切りまくる姐御肌の翼さん。AV女優である事実は隠してはいないが、お店に出ている時はいちキャバ嬢のつもり。それだからこそ、時折ゲンナリさせられることもある。
「“これ見たよ〜”とか言って私の出演作を持ってくるお客さんが案外多いの。へこみますよ〜。相手は良かれと思って持ってくるみたいだしねえ。それだけファンです、っていうアピール?」
しかし、周囲には他のお客さんもいれば女の子も。何より、キャバ嬢気分の時に裸の自分が登場してしまうギャップにうろたえてしまう。
「だって〜普通に恥ずかしいじゃん。オッパイも毛も出してるし、パッケージの裏とかにエッチ中のハメ写真とか載ってるわけで。しかも持って来た相手も見てるわけで、そりゃもうAVなわけで…。フェラチオとか、騎乗位とかバックとか…キャー! そういうシーンが頭の中にあるんでしょ。なんかどう接客していいかわかんなくなるの。AVの翼なのか、キャバの翼なのかどっちつかずになる感じ」
何よりも恥ずかしいのは、アエギ声について言及される時だ。「普段、声高いのにアエギ声はハスキーでエッチだよね」など言われた日には死にたくなるとか。
「褒めてるつもりみたいだけど、もうヤメて(笑)。AVやってる時は私でいっぱい抜いて欲しいと思ってやってるから、素のエッチじゃないでしょう。それを真に受けてるっていうか。コイツもオカズにしたのかなとか。しかもそれを“ハイ、プレゼント”なんて渡された日には、1回観たらいらないの? ってツッコミも入るっちゅうの」
自分のビデオを客から貰う、これほど悲しいことはない。