「お父さんに似てるね」という褒め言葉を言われた場合、キャバ嬢から悪意が感じられなければ、素直に受け取るのが一番だ。
お客が戸惑う妙な褒め方をしてくれたサラ(仮名)はひどく酔っ払っていた為、甘え口調になっている。だからといって口説くチャンスと考えるにはあまりにも早計だ。たいして酔っていなくても酔っ払ったフリでお客の様子をみているかもしれない。
キャバ嬢が仕掛ける罠「嬢トラップ」になっているかどうかを確かめるべく、まず口説く前に話を聞いてみることにした。「ベロベロに酔っ払った翌日は記憶が飛ぶようなことがあるの?」
お店で良い雰囲気になって連絡先を交換したとしても、キャバ嬢の記憶がすっ飛んでしまってはせっかくの頑張りも報われない。酔ったキャバ嬢を本気で口説こうと考えるなら、必ず酔った後どうなるのか? という情報を確認する必要があるのだ。
「うん、覚えてないよ。ホント酔っ払うとヤバイの。前も飲みすぎて翌日にはまったく記憶がなかったから結構、へこんじゃった…」。サラは目を潤ませながら答え、その細く白い指でお客の顔をつついてくる。
今、口説いたとしても翌日に忘れているようでは意味がない。終電がなくなる頃に閉店するので、おそらく帰りはお店側が送っていくのだろう。閉店後のアフター狙いで延長に次ぐ延長というのも、ガツガツした下心があからさますぎてキャバ嬢を口説くことはできないだろう。
結局のところスキがあるようでいてスキが無いということだ。酔っ払ったキャバ嬢を口説くのは意外とハードルが高い…。
(月山皇)