「“歌とかどう? うちから、ミセスシンガーが何人もデビューしているんだ”と、プロフィールやYouTubeのライブ動画を見せられ、“今は、大人の女性の気持ちを歌った曲がないでしょ。そういうニーズは絶対ある。うちは、○○や××など、有名アーティストを育てた作曲家のHさんがいるから、一緒にやっていきましょう”と、近くのカラオケBOXでデモテープを作って、2時間後にまた来るよう指示されたんです」
Mさんは、言われるままにデモテープを作って届けると、そこには件の作曲家・Hさんが来ていたというのだ。
「Hさんのことは、正直、知りませんでした。担当者さんが“Mさんのことを話したら、とても興味を持って、急いで駆けつけてくれた”と言われ、舞い上がってしまって…。3人でデモテープを聞くと、2人は“声が魅力的だ”とか絶賛してくれて、デビューも決まったくらいの雰囲気で盛り上がっているんです」
悪い気はしていなかったMさんだが、「最初のCDは、色々とお金がかかる。作曲代やスタジオ代、プレス代、これが最低80万円」と言われたという。
「さすがに無理です、と言うと、“じゃあ、50万円だとどうですか?”と、いきなり30万円の値引きをしてきたんです」
それでも、すぐに自由になるお金がない彼女は、分割は可能かと聞くと、「クレジットカードのキャッシング枠を使っては?」などの提案を受けたという。
「最終的には“今から消費者金融の無人契約機に行こう”となりました。勤務先を書く欄には、“うちの会社の社員ということでいいですよ”と、その通りにしたところ50万円の審査が通り、全額を渡してしまったんです」
ダマされたと気が付いたのは、「自分でライブを開いて手売りするんだ」と言われ、返金を要求するも断られたから。さらに、バックアップしてくれるスポンサーを紹介するからと、無理やりホテルに連れて行かれそうになったという。
「デビュー前にお金を要求してくる芸能プロは、まず悪質と思って間違いありません。むしり取るだけむしり取って、最後は裸で稼いでもらう手法です」(A氏)
奥さんに家計の管理を任せっきりにしている人は、急いで通帳をチェックした方がいいかもしれない。