大仁田氏が袖ヶ浦市を知ったのは今年2月。7月に同市内で行うプロレス興行の準備で訪れたのだが、「若者が少なく閉塞感がある」と思ったという。しかし、「正式な出馬表明か?」の記者団の問いには、「支援者と話し合ってから…」と言葉を濁した。
「勝ち目がないと分かれば、大仁田氏は出ません。袖ヶ浦側の反応を確かめている段階でしょう」(市政記者)
大仁田氏は袖ヶ浦に縁もゆかりもないようなので、本誌が代わりにリサーチしたところ…。
「閉塞感? 若者が? 余計なお世話だ! 袖ヶ浦は千葉県で3番目に財政が豊かな町なんだ。なのに、オレたちの町が過疎化しているみたいに言いやがって」
多くの地元有力者、商工会議所の関係者は一連の発言にこう憤っていた。また、某市議が匿名を条件にこう説明してくれた。
「今回の選挙の焦点は、町に火葬場を作るかどうか。候補地の周辺住民は大反対しており、一方で『市原市の火葬場まで行くのは面倒』との声も寄せられている。木更津、君津、富津の3市は共同で火葬場を作ることで合意し、新たな袖ヶ浦市長がそれに加わるかどうかの返答をすることになります。3市は選挙が終わるまで、その返事待ち」
確かに大仁田氏の口からは具体的な政策は聞かれなかった。会見では「袖ヶ浦市役所から資料を取り寄せて、勉強もした」とも語っていたが、市民の目には「何も知らない」と映ったようだ。本誌が集めたそんな地元の声を知れば、大仁田氏のブレーンは出馬を諫めるしかないだろう。
「レスラー大仁田は策士です。現職市長か、対抗馬の応援をするとかのサプライズも考えられる」(前出・記者)
地方首長選で頼りになるのは、有名人ブランドよりも地元の縁故だ。森田健作・千葉県知事も、最初の知事選では落選している。地方の洗礼を浴び、それからは4年後に備え必死に県内をドサ回りしていた。袖ヶ浦でのプロレス興行は大成功だったが、今回の市長選で勝利し「ファイヤー!」と雄叫びを上げることはなさそうだ。