全国紙政治記者が言う。
「安倍・菅の間に妙によそよそしい空気が漂い出したのは事実です。その謎を解くキーワードは“カジノ法案”だと言われています」
菅氏がカジノ法案にいかに力を入れてきたかは、過去の言動を見れば明白だ。
「今年1月3日付の神奈川新聞が《カジノ横浜有力候補》の見出しで、『カジノ中心の統合型リゾートIR』整備構想で横浜を候補地の一つとして政府が検討を始めた、と打ったのです。2月には読売新聞が『カジノ候補地に政府は横浜と大阪で開業する方針を定めた』としています」(同)
この記者らの解説によると、神奈川新聞のスクープは、明らかに神奈川が地元の菅官房長官が震源地と見られるという。その証拠に同紙は、ご丁寧に菅氏の『首都圏で(カジノは)一つと思っている。横浜は有力な候補地だ』というコメントまで掲載している。
最大1兆5000億円の経済効果をもたらすカジノ構想は「カネの成る木」と、全国20カ所もの自治体が名乗りを上げ激しい誘致合戦を展開。中でも本命視されたのが東京都で、お台場のフジテレビ本社前に候補地を確保し、フジ・メディア・ホールディングスを中心に鹿島建設や三井不動産等が青写真を描き誘致に動いた。
さらに、もう一つの有力候補地は普天間米軍基地移転の代償としての沖縄県だ。
「ところが東京は、カジノ発案者の石原慎太郎元都知事の後継者、猪瀬直樹前知事が徳洲会問題で突然辞任。その後継にカジノ嫌いの舛添要一知事が就任すると、急速に候補地から遠のいた。沖縄も政府と基地問題で対立する翁長雄志知事の就任で脱落し、候補地選定は振り出しに戻ったのです。そんな有力候補地脱落の隙を縫い横浜が急浮上、加えてやはりカジノ構想に熱心だった橋下徹大阪市長の強烈なプッシュで大阪も有力となったのです」(IR議連議員)
その橋下氏のカジノ誘致熱は半端ではない。
「橋下氏はシンガポール、マカオ、ラスベガスなど、カジノを相次いで視察。マカオのカジノ関係者とは密談を重ね、大阪湾の人工島・夢洲150ヘクタールへの誘致に奔走した。今年6月に松井一郎府知事を加えた安倍・菅氏との会談の際にも、最終的にお墨付きをもらったと噂になったほどです」(IR議連幹部)