有馬記念5着の後は山元トレセンへ放牧に出され、2月19日に帰厩。以降は25日の坂路800メートル52秒1を皮切りに週2本ずつ時計を出してきた。1週前の追い切りは11日、今回から乗りかわる横山典騎手が手綱を取って行われ、南Wコースで5F72秒1、上がり3F41秒6→12秒3を馬なりでマークした。
鞍上が「感触が良かったし、いいと思う」と言えば、「タイムは平凡だったが、ゴールを過ぎてからも行っているから負荷はかかっている。順調ですよ」と見守った鹿戸雄調教師。「有馬記念の後は1週間、自厩舎で疲れを十分取ってから移動したので、向こうでも休みなく乗れたからね。直前の1本で態勢は整うでしょう」と青写真通りの仕上がりに笑顔がこぼれた。
GIV2を狙った前走は0秒5差5着に終わったが、「負かしにいっての結果だから、仕方ない。あの時点ではダイワスカーレットにかなわなかったということ」と指揮官。「でも、3歳の秋から長く休んでいた馬だから、これからまだまだ力をつけて強くなってくると思う」と、さらなる伸びしろを強調した。
実際、5歳の春を迎えたヒーローは「落ち着きを増し、普段のしぐさも大人びてきた」という。「欲目もあるんだろうが、どっしりしてかっこよく見えるし、何か馬が自信を持っているような感じがする」
3000メートルは初体験になるが、過去、2400メートル以上は、重賞2勝を含め、<3201>。「長いところを上手に走れるのがセールスポイント。復帰した当初から春の天皇賞を目標にしてきた馬だし、距離は心配していない」と同師。父がロベルト系のグラスワンダー(有馬記念2勝)、母の兄がステイヤーズSを勝ち、天皇賞・春、菊花賞で2着したステージチャンプと、血統的な裏付けも十分ある。
「今度は目標にされる立場。受けて立てるようにやってきたつもり。あとは乗れている横山典騎手に任せたい」
今年に入ってAJCC、小倉大賞典、中山記念、オーシャンS、弥生賞、中山牝馬Sと重賞6勝の絶好調男が勝利に導く。