これほど分かりやすい勝負気配はない。「阪神JFに出走させたいからね。ここはぜひとも賞金を加算したい」と橋口師は言った。
暮れの“GI”の舞台に立つため、オディールは生まれたといっても過言ではないだろう。母は97年の2着馬キュンティア。母の無念を晴らせば血のドラマは大きく展開する。しかし、オディールはまだ1勝馬。2着までに入って出走を確実にすることが、リベンジへの第一歩になる。
前走のりんどう賞は2着。今回も本命視されるエイムアットビップの逃げを捕らえ切れなかった。「この前は勝ち馬が強すぎた」と師も敗戦を素直に認めたが、一方で今回に向けた勝算もしっかり立っている。
「負けたといっても追ってからしっかり伸びていた。追って味のあるタイプだからね」今回は同じ京都の1400mといっても内回りから外回りへ。直線は長くなる。逃げ切りは当然難しくなり、切れ味を生かすオディールに有利に傾く。
もうひとつは状態面の上積みだ。前走は3カ月ぶりの実戦で完調手前。道中は気がはやり、折り合いを欠く場面も見られた。ひと叩きの上積みは歴然で、安藤勝騎手の乗った24日の1週前は栗東坂路で800m53秒3→38秒5→25秒4→12秒9と軽快な動きを披露した。
「追えば伸びるから彼(安藤勝騎手)とのコンビはぴったりでしょう」母譲りの末脚でGI制覇へ大きく踏み出す。
【最終追いVTR】坂路で古馬1000万のトシザショーマとテンから併せ、800m52秒9→38秒6→12秒9(一杯)。併走相手より楽な手応えで、追い出してからも力強い伸び。最後は相手に合わせて併入フィニッシュとなったが、身のこなしも柔らかく状態は絶好調だ。