search
とじる
トップ > アイドル > 【帰ってきたアイドル親衛隊】ボーイッシュ系ショートカットの先駆者になるはずだった佐東由梨

【帰ってきたアイドル親衛隊】ボーイッシュ系ショートカットの先駆者になるはずだった佐東由梨

 1980年頃からアイドルはオーディション番組やコンテストなどの出場を経てデビューするパターンが増えてきた。『スター誕生!』(日本テレビ系)や『ホリプロタレントスカウトキャラバン』などが有名だが、松田聖子や国生さゆりなどを輩出した『ミスセブンティーンコンテスト』も密かに注目を集めていた。84年には、受賞者の工藤静香、柴田くに子、木村亜希(元清原和博夫人・現亜希)の3人が、セブンティーンクラブを結成して、アイドルグループとして活動を行っていた。

 そんな『ミスセブンティーン』の出身者で個人的に注目していたのが、82年に優勝した佐東由梨である。優勝した時には、まだ彼女の存在を知らなかったが、レコードデビューが決まった時に、当時のアイドルとしては異色な存在で、私の気になったのが佐東由梨である。実はオーディション段階では、ロングヘアーで地味な感じの子だったので、私的にはノーマークになっていた。

 デビューが決まると髪の毛をバッサリ切ってショートカットになっていた。当時のアイドルでショートカットは珍しく、ボーイッシュ系の女の子は、アイドルとして受け入れにくい時代でもあった。後に小泉今日子がショートカットにして話題になったが、それはある程度の知名度が上がってからのイメージチェンジだったので、大きな話題にもなった。本来はボーイッシュ系ショートカットの先駆者になるはずだった佐東だが、そのキャラクターはイマイチ浸透することはなかった。

 レコードデビューが82年11月だったのだが、当時のこの時期にデビューするのは、今後の売り出しのタイミングとしては厳しい時期だったのである。毎年のように行われている各局が開催している音楽祭があるのだが、新人賞の発表が年末なので、この新人賞のノミネートは9月までにデビューした人という規定があった。佐東の場合は11月という新人賞の賞獲りレースに参加するには厳しい時期のデビューだったことで、メディアの露出も少ない方だった。ちなみにデビュー曲は『どうして?』というアイドルらしからぬタイトルで、ダークな曲調だったこともあり、あらゆる面で売り出し方に無理があった。それでもレコードのキャンペーンも頑張ってやっていた様子だったが、厳しい現状は続いていた。

 そんな苦境に立たされた佐東だが、私はただの一回だけ遭遇したことがある。83年2月に『たのきん全力投球』(TBS系)の公開収録を観に行った時にゲスト出演していたのだ。主目的はゲストに石川秀美が出ていたからなのだが、生で観た佐東は個人的にすごい好みだった。当時の公開収録番組は、写真撮影が大丈夫な番組が多かったので、佐東の写真を撮ることができたのは満足だった。今では公開番組での撮影はほぼNGで、ジャニーズ系のタレントが出演していたらマスコミすらダメなケースも多いので、本当にありがたい時代でもある。ここで2ndシングル『ロンリー・ガール』を聞くのだが、相変わらずダークな感じの曲だった。それでも私は嫌いではなかった。

 その後に『ハート・ウォッシャー』『春めき少女』とレコードを発売したのだが、どの曲もオリコンランキングで100位以内にランクインすることなく、活動期間は2年弱で芸能界を引退してしまった。あっという間に引退してしまい本当に残念だが、売り出し方の方向性をしっかり舵を取っていればブレークした可能性も高かったのではないかと思う。引退後はどうしているかの情報はほとんど出てきていないが、できることなら現在の年齢でも構わないので、デビュー曲の『どうして?』を生で聞いてみたい気持ちだ。おそらくそれは無理な話なので、どこかの中古レコードショップで佐東のレコードを聞いてみたいと思う。とりあえず行きつけの中古レコードショップに近いうちに行ってきます。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

関連記事


アイドル→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

アイドル→

もっと見る→

注目タグ