あの“ヌメリ”はいまだ秋山の頭を悩ませていた。
昨年大みそかの桜庭和志戦でスキンクリームを塗ってヌルヌル状態のまま試合を行ったとして無期限出場停止処分を受けていた“反骨の柔道王”秋山。約10カ月の謹慎期間がようやく解け、28日に第2の祖国でデニス・カーンとの復帰戦に挑むことになった。
この日の会見の冒頭では「できる限りのことはやってきた」と発し、好仕上がりをアピール。さらには「体は1年前と変わってない」と、動きのキレも抜群であることを強調したが、どこか秋山の様子がおかしい。「普段より多めに練習して筋肉痛になった」という左足を引きずり、会見場に登場ところをみると、コンディションは100%とはいえないようだ。
決戦まであと3日。肉体疲労を訴える反骨の柔道王だが、不安要素はそれだけではない。やはり胴着の着用についてはかなりの戸惑いを持っているようで「胴着は着ても着なくてもメリットとデメリットがあるんです」とポツリ。無理もない。秋山はヌルヌル騒動の際に手足が多汗症であることからクリームを使用したことを激白したが、胴着問題にはこの持病である多汗症が大きく関わっているのだ。
秋山がやや不安気な顔で語る。「汗で滑ると技が決まらなかったりするんですよ」「でも多汗症の手術をするのは現役が終わってからにしようと思っている」。カムバックを前にいまなお反骨の柔道王は、最大の不安を抱えているという。
ようやく“ヌルヌル騒動”からカムバックする秋山。“ヌルヌル恐怖症”に打ち勝ち、本番ではぜひともスベらない闘いに期待したいものだ。