クセのあるコメンテーター陣営を取りまとめるメインMCは東野幸治。彼の采配が絶賛を浴びることは少ないが、実は功労者だ。ではなぜ、東野はあまたの猛者たちにズバズバと斬り込むことができるのか。それは地元・関西で今なおオンエア中の『お笑いワイドショー マルコポロリ!』(カンテレ)で司会を務め続けていることが大きい。
同番組は、ワイドショーバラエティ。毎回ひとつのトピックに着目して、その業界や有名人の激白に、レギュラーリポーターの月亭方正やほんこん(130R)、シャンプーハットやあいはら雅一(メッセンジャー)ほか、よしもと芸人がバリバリの関西弁でツッコミを入れていくテイストだ。いわば、ベタな関西独自の作りと言っていいだろう。
スタートしたのは2006年。東野は、『ワイドナショー』がスタートする前から、地元でワイドショーのMCという素地を作っていたのだ。さらに、松本&東野というコンビは、このおよそ20年前に誕生している。ダウンタウンのアイドル人気が爆発するきっかけとなった関西ローカルのバラエティ生番組『4時ですよ〜だ』(毎日放送/87年〜89年)で、東野は芸人人生をスタートさせたからだ。
東野は、地元の兵庫県宝塚市で水泳選手として名を馳せていたが一転、芸人の世界に飛び込んだ。ズブの素人に、関西芸人特有の鉄拳制裁を加えたのが血気さかんなダウンタウン。“神戸のおぼっちゃま”は通称“4時”で、芸人のあり方や姿勢、当時の吉本興業、関西のテレビシーンに触れて、今田耕司との“Wコウジ”で修業を積んだ。
この蓄積がやがて、「お笑い芸人」ではなく「お笑いタレント」としての東野を構築。今田と歩んだ道は似ていたが、司会者としてそれぞれが大成した。
そんな東野は現在、東西で情報系番組の司会を担っている。しかも、東京の『ワイドナショー』では、目の前に恩師のひとりである松本がいる。その松本も今では、東野に全幅の信頼を寄せている。
視聴率では裏番組の『サンデージャポン』(TBS系)に差をつけられている『ワイドナショー』。だが、コアなファンをがっちりつかみ、炎上発信源として常にマークされている。ここに通底しているのが、松本と東野の“30年愛”であるというのは意外な盲点か……。
(伊藤雅奈子)