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やくみつるの「シネマ小言主義」 予測不能! 正真正銘の『カメ止め』第2弾「スペシャルアクターズ」

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提供:週刊実話

 少し前にこのコーナーで、『カメ止め』の上田慎一郎監督の次回作として『イソップの思うツボ』をご紹介したんですが、あれは上田監督を含む3名の監督の合作。単独監督での劇場長編映画としては、本作が正真正銘の第2弾です。

 スポーツ新聞で上田監督自身が語っていた記事によると、気絶するほどの重圧を感じていたそうです。そりゃそうでしょう。2度、3度と見る人が続出したほどの大旋風を、初監督作品で巻き起こしてしまったんですから。次回作への期待度はマックスです。

 期待に違わず、ワークショップで選んだ無名の役者たちを使い、「見る人を最後まで飽きさせない大どんでん返し」という前作の手法を踏襲して、完成させました。後々は全く違うフレームで作るんでしょうが、見ているこちらは、まずは同じ手法を期待してしまいます。でも、マンネリとの指摘は当たっていません。むしろ、『カメ止め』と同じという制約の中でオリジナルを作るのはさぞや難しかっただろうと察します。

 エンディング近くになっても、こちらはまだ何かあるに違いない…と確信(?)しながら見ていたら、きっちり、もう1回ひっくり返してくれました。前半の伏線はすべて回収され、それがたまらなく快感なので、何気ない事にも気を抜かず見続けてくださいね。

 さて、本作は「緊張すると気絶してしまう売れない役者」和人が主人公ですが、よくもこんな気の弱そうな人を見つけたもんだと思っていたら、1500人もの応募の中から出演者を選んだ後、当て書きでストーリーを生み出したそうです。「演技による人助け」をする役者集団による「何でも屋」というシチュエーションをひねり出せた時はイケると踏んだでしょうね。

 実は、自分も主人公の和人と同じ体質でして、緊張しすぎて血圧が急降下し、気絶したことが何度もあります。いつぞやは番組出演中に気絶し、「死んだと思った」と言われたことも。

 最も苦手なのは、採血で注射針を刺す瞬間。腕の血管が細く、圧迫しても出にくいようで、看護師さんが焦っている様子を見るともうダメ。恥ずかしいですが、今やベッドに横になって採血してもらっています。

 本作の中で、過緊張をほぐす効果のある「おっぱいの感触のボール」を和人が握り続ける場面がありますが、映画館の物販コーナーでぜひ売っていただきたい。

 欲しい物は、まだあります。和人たちと敵対するカルト集団のTシャツに、ヘンテコな形の宗教グッズ。収集欲を大いにくすぐられました。

画像提供元:(c)松竹ブロードキャスティング
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■スペシャルアクターズ
監督・脚本・編集・宣伝プロデューサー/上田慎一郎 出演/大澤数人 河野宏紀 富士たくや 北浦愛 上田耀介 清瀬やえこ 仁後亜由美 淡梨 三月達也ほか 配給/松竹 10月18日(金)より、丸の内ピカデリーほか、全国ロードショー。
■超能力ヒーローが活躍する映画が大好きな、売れない役者の和人。ある日、久しぶりに会った弟から「スペシャルアクターズ」という俳優事務所に誘われる。そこでは映画やドラマの仕事の他に、演じることなら、どんな相談や悩みでも引き受けていた。そんなある日、“カルト集団から旅館を守って欲しい”という依頼が入る。対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく中、このミッションの中心メンバーにされた和人には、極限まで緊張すると気絶してしまう体質という秘密があった。

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やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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