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キャバクラ小説家yanagiが語るネオン街ライフ〜キャバクラ今昔物語・その8〜おだいじん

 こんにちは。キャバクラ作家のyanagiです。消費税増税や電気料金のアップなど、嫌な話が多いですね。今回は、ちょっと景気の良かった頃の話をして、気分を盛り上げていきたいと思います。

 私も、同郷の友人に連れられてキャバクラ遊びにハマったクチですが、私が誘ったことで、ネオン街の門をくぐってしまった相手も、数多く存在します。

 そのひとりに、Kという男がいました。彼とは実家が近所で、同じ中学の後輩でした。卒業後もなんだかんだ関係は続き、成人してからは先輩後輩と言うよりは普通の友人という感じで接するようになりました。

 ある夜のこと。Kが、「俺もキャバクラに行ってみたいな。でも金がないんだよな」と言いました。ちょうどその日、私はパチスロで大勝ちしていたので、手元にはけっこうな金額を持っていました。懐の温かかった私は、Kに次のように言いました。

 「よし、それならば今日は俺が“おだいじん”してやるよ」

 「おだいじんをする」とは、「奢ってあげる」という意味ですね。つまり、その日の会計は私が全部持つから、一緒にキャバクラに行こう、とKを誘ったわけです。

 こうして、Kのキャバクラデビュー日は、私の「おだいじん」ということになりました。Kも「こんな世界があるのか…」と、夢が醒めざらない様子で帰宅していきました。

 翌日の夜、Kから電話がかかってきました。出てみると、次のように言ってきたのです。

 「パチスロに勝った。今夜は俺が“おだいじん”するから、一緒に飲みに行こう」

 ありがたい誘いだったので、私はもちろん受けました。そして、Kの「おだいじん」で、その日は大いに楽しんできました。

 こんなことが何度か続き、Kはどっぷりとキャバクラの世界にハマっていきました。奢られることと奢ることの両方の気持ちよさを知ってしまったのです。
 私も「悪い先輩だなあ」と思いましたが、一度知ってしまった味は忘れられませんので、あとはKがどうネオン街と折り合っていくのかを、見守るばかりです。

執筆者 yanagi
1978年生まれ 作家、フリーライター、心理カウンセラー、サプリメントアドバイザー。メールカウンセリングサイト「ysカウンセリングルーム」、ライタースタジオ「スタジオY」主催。また、木悠利名義でも執筆活動中。元バーテンダーでもあり、キャバクラ・スナック等のネオン街の裏事情にも明るい。現在、電子書籍サイト「ヨミーバ」にて、yanagi名義で「ネオン街三部作」等、キャバクラを舞台にした小説を多数発表している。■ヨミーバhttp://www.yomiba.com/■ブログ「ysカウンセリングルームの小部屋」 http://ameblo.jp/yscounselingroom/■サイト「ysカウンセリングルーム」http://www.yscroom.com/

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