この試合では、延長10回表、オリックス・近藤大亮からソフトバンク・中村晃が大飛球を放った。審判はファールと宣告したが、ソフトバンク側の要求をもとにビデオ判定した結果、ホームランに裁定が覆った。
「再試合はしない」との裁定が下り、幕引きかと思われた今回の誤審問題。しかし、オリックスは2011年にクライマックスシリーズ進出を、2014年にはリーグ優勝を、それぞれ1勝の差で逃した苦い過去がある。ライバルであるソフトバンク戦の1敗は、シーズン終盤に重くのしかかってくる可能性がある。
かつての苦い思い出はファンにとっても忘れられない過去だ。球団の諦めない姿勢をファンは「よくぞ抗議してくれた」などと支持している。特にチケットを購入して22日の試合を観戦したファンの怒りはすさまじい。NPBは球団だけではなく、あの日お金を払って観戦したファンに対する責任を重く見るべきではないだろうか。
球団はNPBに宛てた文書の中で「映像により当初の裁定を覆す確証が得られない場合は、当初の裁定を採用することになっていながら、わずか1時間後に誤審を認めるような杜撰(ずさん)な検証によって裁定を覆したことは、同項に反しており、明らかなアグリーメント(契約、協定、合意)違反」と断罪。「アグリーメント第47条に『このアグリーメントが野球規則と競合する場合は、アグリーメントが優先するものとする』と規定されており、アグリーメント違反は即(すなわ)ち野球規則違反である」と猛烈に抗議している。
「本塁打が最終決定」としたNPBの返答に対しても「問題は『本塁打の裁定』そのものではなく、裁定に至るまでの規則の運用違反であり、野球規則7.04に規定された『審判員の判断に基づく裁定』には当たらない。従って、特例措置による続行試合を引き続き要望するものである」として、再試合の実施を改めて強く求めた。
チームは26日の首位・西武との接戦を制し、再び波に乗りかけているだけに、誰もが納得する形で誤審問題の早期決着を図りたいところ。だが前代未聞の問題なだけに、このまま両者の話が平行線をたどれば、長期戦は避けられない。果たしてこの問題はどう決着するのだろうか。
文 / どら増田
写真 / 垪和さえ