いま積極的に買い出動しているのは、外国人投資家と信託銀行だ。株価が上がれば外国人が殺到し、これが株価上昇に直結する図式は極めてわかりやすい。ならば、信託銀行の積極買いは何を意味するのか。
「信託銀行の背後には年金基金や共済、かんぽ生命などの公的マネーがいる。資金力が豊富だから、池の中の鯨にたとえて“クジラ”と呼ばれ、買い余力はトータル30兆円に迫るとの試算さえある。そのベラ棒な金額が市場に注入されれば株価は急騰する。外国人投資家も買い安心感があるから、日本市場に殺到しているわけです」(地場証券役員)
むろん、安倍政権で任命された日銀の黒田東彦総裁がアベノミクスを成功させるべく、日銀による株価PKOの旗振り役を演じているのは改めていうまでもない。しかし、上昇相場に永遠はなく、問題はいつ手厚い官製相場の賞味期限が切れるかだ。
不吉な前兆がある。昨年暮れに一挙12社が東証1部上場した中で、前評判が高く鳴り物入りだったスマホゲーム大手、gumiのメッキが早くも剥げ落ちたのだ。
「gumiの社長は『世界一を目指す』と豪語していたが、早々に業績予想を下方修正して赤字に転落する。野村証券が主幹事の座を大和証券から奪い取って上場させた会社の大醜態とあって“これでアベノミクスはミソを付けた”と突き放す声さえ聞こえてます」(市場関係者)
クジラが池で暴れれば小魚は逃げ場を失う。飛び跳ねれば干上がる。餌を失ったPKOクジラの運命は明らかだ。