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親会社ルノーピンチ! 姑息な組合対策で馬脚をあらわす 日産ゴーン社長のカネと野心(1)

 いかにも彼らしい手法だ−−。市場関係者がそうつぶやき、苦笑している。
 日産自動車の社長を兼務する仏ルノーのカルロス・ゴーンCEO会長が、難航する組合との交渉に際し、リストラを呑ませる条件として「2016年まで役員報酬の3割を返上する」と提示したのだ。
 ルノー本体から得る役員報酬の3割返上は、昨年実績で約5300万円に相当する。我ら庶民には大金だが、本人には痛くも痒くもない金額だろう。何せ日産のゴーン社長といえば、毎年のように高額報酬のトップを独走し、総額15億円超の収入があるといわれている。たとえ5300万円をドブに捨てたところで、ルノーCEOの地位が安泰ならば日産のトップも保証される。世渡り術に長けたゴーン社長が、譲歩のポーズを取ることでの“ポイント稼ぎ”を考えないわけがない。

 ルノーは1月半ば、'16年までにフランス国内の従業員の約17%に当たる8000人を削減すると発表、組合にも通告した。欧州債務危機の直撃を受け、昨年の世界販売は前年比18%急減の255万台に低迷、そこで同社始まって以来となる大規模リストラに踏み込んだが、これに組合が猛反発。1月末にはパリ市内で大規模デモが発生、プジョー・シトロエングループが同じく大規模リストラを打ち出したばかりとあって、「ルノーに15%出資する筆頭株主のフランス政府は、主要産業の相次ぐ雇用減に神経を尖らせている」(情報筋)のが実情。そんな政府の腹の内を見透かしたように、ゴーンCEOが精一杯の“誠意”を示し、組合ともども懐柔しようとした図式なのだ。
 これがどこまで奏功するかは予断を許さないが、怪しい火種がくすぶっているのは、何もルノーのお膝元フランスだけではない。

 日産は2016年度までに世界販売台数を'11年度比1.6倍の760万台に拡大するという野心的計画を掲げている。そのため昨年、北米市場での躍進を狙って中型セダン『アルティマ』を投入。ミシシッピ州カントン工場での生産体制を2交代シフトから3交代シフトにし、競合するトヨタの『カムリ』の追撃だけでなく、秋にモデルチェンジを控えていたホンダの『アコード』を出し抜いて大きくシェアを伸ばす作戦だった。
 ところが、急激な増産体制に部品メーカーが追いつかず、生産現場が混乱。近隣工場から調達できず、苦肉の策として、高くつくことを承知で中国から部品を航空便で取り寄せて対応するという、笑うに笑えない事態に陥った。
 「部品調達で後手を踏んだことから、結局ディーラーが苦戦を強いられました。挽回を図るために、値引き原資となる販売奨励金の積み増しを迫られるなど、負の連鎖に見舞われたのです」(業界関係者)

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